法律のいろは

相続の際に,このお金はどうなるのですか?(その②死亡保険金や死亡退職金)

2013年5月25日 更新 

 相続や遺産分割の際の話に取り扱いがどうなるのか問題になるお金の話を前回しました。

 問題になるお金の種類は多いのですが,前回は葬儀費用と香典・遺骨や遺産管理費用について触れました。

 今回は,亡くなった方(被相続人)が亡くなった場合にお金が支払われる生命保険について触れていきたいと思います。こうした生命保険では,特定の相続人とされる人が保険金の受取人とされたり,単に相続人が受取人とされいるもの,全く受取人が指定されていない場合等あります。

 

 まず,前提として,生命保険の保険金は,保険金の受取人とされている方の固有の財産となるということが重要です。ですから,いかに亡くなった方(被相続人)が契約者で保険料を払っていても,その方の相続財産にはなりません。

 したがって,特定の相続人が保険金の受取人とされていた場合には,その方の自分の財産となります。ちなみに,この場合に,生命保険金が生活の資への贈与(遺贈)だから遺産分割にあたって調整されるべきではないかということを伺うことがあります。特別受益と呼ばれる問題で,簡単に言えば,もらい過ぎの部分を遺産分割では調整すべきではないかというものです。特別受益に該当する場合には,遺留分侵害の対象として考慮される場合も出てきます。

 詳しくは,別のコラムで触れていますが,基本的には遺産分割でも考慮の対象とはなりません。ただし,遺産に比べ保険金が多すぎる等特別な事情があれば例外はあり得ます。

 

 次に単に相続人を保険金の受取人とするだけで,受け取る割合を指定しなかった場合もあり得ます。この場合には,法定相続分の割合で受取人の方の自分の財産に生命保険金はあたります。ですから,この場合にも,亡くなった方の相続財産にはなりません。これに対して,死亡保険金の指定受取人とされた方が相続開始前に亡くなり,その後指定受取人の変更をすることなく相続が開始された場合は話が異なります。この場合は保険法の規定で保険金受取人がない場合に指定を補充うる規定があり,その規定の適用を受ける場合には,当初受取人と指定されていた方の法定相続人が同じ割合で保険金を取得します。この場合には,法定相続割合にしたがってということにはなりません。

 

 問題は,全く生命保険金の受取人を指定しないで亡くなられた場合です。この場合には,法律や約款を解釈することで対応すると考えられています。約款で記載されている場合も結構あります。約款に保険金の受取人の指定がない場合には「相続人に対して支払います」と書かれていれば,相続人を保険金受取人として指定したのと同じ扱いとなります。

 

 死亡退職金や遺族年金も受取人の固有の権利とされており,遺産には含まれません。死亡退職金の支給規定で誰を受取人とするかが定まっていればそれに従いますし,定まっていない場合には死亡退職金支給の趣旨を推測して,亡くなった方の収入に依存していた遺族の生活保障と考えられるならば,それに沿った支給をしていくことになります。

 

 ちなみに,死亡退職金や生命保険金は相続税の課税については「みなし相続財産」としての課税対象(非課税部分はあり)となります。ただし,相続放棄をした方についても課税対象となる(この場合には相続人ではないため非課税部分はなく,20%加算の対象)場合があります(基礎控除の計算対象には相続放棄をした方も含まれ,含めての基礎控除額を課税対象が上回った場合)。生命保険金の契約者や受取人・保険料負担者等の関係によっては相続税ではない税金が課税される場合もあります。

 

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