法律のいろは

相続の際に,このお金はどうなるのですか?(その③連帯債務や連帯保証人としての負担はどうなる)

2013年5月27日 更新 

 相続や遺産分割の際に,このお金はどうなるのかということで2回触れてきました。

 今回は,負債はどうなるのかについて簡単に触れてみたいと思います。

 そもそも,負債も当然に相続の対象となります。負債が多く残った場合の対応としては,相続放棄や限定承認という方法もあります。詳しくはいずれ触れたいと思います。ただし,遺産分割の対象に負債は含まれないことには注意が必要です。

 

 連帯債務

  連帯債務も相続の対象にはなります。ただし,注意すべきは,相続人が複数いる場合には,相続人が相続分に応じて分割した形で,連帯債務者になる点です。たとえば,亡くなった方(被相続人)が100万円の連帯債務者で相続人が二人いるとします。

  この場合,相続人は相続分(半分)に応じて,連帯債務を負います。

  つまり,100万円÷2=50万円,ずつを連帯債務として追うことになります。ちなみに,連帯債務の場合には,本来の債務者と同じ負債を負うことになります。ちなみに,遺留分を計算する際に亡くなった方(被相続人)の負っていた負債を差し引きますが,連帯債務は全額をそのまま差し引きます。

 

 保証債務

 保証債務の場合は種類により異なります。ちなみに,今民法の改正が議論されていますが,ここでの話は現在までの法律を前提とします。

 保証債務には

 ①身元保証や信用保証のように,長期間の契約などにもとづき発生する負債を保証するもの

 ②特定の負債を保証するもの

 とがあります。②は中小企業の経営者の方にも多いのではないでしょうか?

  ①については,亡くなった方が保証人だった場合に,相続はされません。ただし,注意しておくべきは,既に具体的に発生した負債については相続されます。たとえば,身元保証についていえば,雇い主に払わないといけないお金が発生している場合には,この部分は相続されます。他方身元保証人としての支払い義務を負う対象期間は法律で定められていて,例えば勤務している間ずっとと契約書に書かれていても伸びることはありません。更新も合意をもってしないといけませんし(実際にはしていないケースが多いように思われます),実際上支払いを求められている負担が身元保証人としての責任を負うべき期間なのか(支払い義務を負うのかどうか)も問題となってきます。

 ②と同じようになります。

 

 ②については,確定している金額ですので,相続されます。身元保証や信用保証について書きましたけど,相続に際しては,具体的に金額がはっきりしている保証人としての負債がないかどうかきっちりと確認する必要があります。しっかりと気を付けたいところですね。相続で保証債務をの扱いが気になるところとして,遺留分の侵害の計算をする際の亡くなった方(被相続人)の負っていた保証人としての債務については,支払った部分を主たる債務者に支払うよう請求できることなどから,不確実な負債として差し引きの対象には原則含まれません。とはいえ,保証人に対する請求は連帯保証人であっても,本来支払うべき方(主たる債務者)の支払いが難しい場面で問題となります。こうしたケースでは,負担が確実かつ支払いの請求を後でもできないので,例外的に差し引き可能とされています。他にも,相続税の計算をする際の債務控除(課税対象財産から差し引くもの,課税対象額を算出する過程で計算します)で考慮されるのかどうかについても,先ほどの遺留分の話で述べた話が当てはまります。

 

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