法律のいろは

交通事故にあった事で仕事ができなくなった分の損害賠償はどうなるのでしょうか?(その⑧)

2013年6月9日 更新 

 交通事故の被害にあって,働けなくなった場合に,その損害賠償はどうなるのかについて7回触れてきました。

 これまでは,休業損害というものについて触れてきました。休業損害とは別に逸失利益というものがあります。交通事故にあって,ケガをした場合に,治療をすることで大きく改善が見込めなくなることを症状固定といい,症状固定前の損害を休業損害,症状固定後の損害を逸失利益といいます。

 

 これから,何回か逸失利益について触れていきます。交通事故での逸失利益とは,交通事故にあって生じたケガが治療で回復しない・交通事故で死亡した場合に,将来得ることができた収入が得られなくなるので,その損害のことと理解しておけばいいと思われます。このうち,ケガが治療で回復せず十分に働くことができないことによって生じる逸失利益のことを後遺症逸失利益・交通事故で亡くなることで収入が得られなくなることで生じるのが死亡逸失利益というものです。

 交通事故によって,亡くなった方について,得られた収入なんて考えるのは奇妙と考える方がいるかもしれません。交通事故で近親者がなくなった場合には,相続が起きる可能性がありますので,損害賠償請求の損害も相続されます。また,相続人とは必ずしも一致しませんが,近親者固有の慰謝料というものを考えることもできます。

 

 このうち,まず,後遺症逸失利益について触れていきます。後遺症逸失利益では,ケガが治癒しないことで症状が残って,それが後遺症と認定された場合に,後遺症の程度に応じた働けない程度(労働能力喪失率)によってうける損害の賠償を考えるものです。後遺症によって十分に働けなくなる期間に応じて,損害賠償を受けることになります。

 

 後遺症によって十分に働けなくなる期間は,原則として67歳までと考えられています。この期間がスタートするのは,症状固定の日が原則となります。もちろん,子どもが後遺症の残るけがをした場合には原則18歳(大学卒業が見込まれれう場合には,大学卒業時)をスタートとします。

 先ほど,後遺症によって十分に働けなくなる期間は,原則67歳までとしました。とはいえ,ケガの内容や後遺症の症状によっては,そこまでせずとも十分に働けるようになる場合もあります。この場合には67歳よりも早い時期が終わりの時点となります。良く問題になる例として,ムチウチの場合には,こうした可能性があります。ただし,あくまで例外ですし,症状や職種など様々な要素を考慮してですので,ムチウチ(頸椎捻挫)の場合が一概に短くなるわけではありません。

 

 注意すべきは,こうした逸失利益は,将来得られるだろう収入が得られなくなった分を今の時点で損害賠償しようというものです。このことから,将来のお金を今の時点で得ることについての調整をする必要が出てきます。中間利息控除というものです。

 

 こうした点の補足を含め,次回に続きます。

 

 

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