法律のいろは

子供との面会について(その⑤)離婚後

2013年6月11日 更新 

 子供を現在養育監護していない親との面会について,これまで何回か触れてきました。

 

 子どもとの面会について,調停や審判によって,決着がついても守られない場合の対応方法についてこれまで2回触れました。内容としては

 ①履行勧告の申し出をする

 ②再度家庭裁判所に面会交流の調停や審判の申立てをする

 ③間接強制手続きの申し立てをする

 があります。

 

 このほかに,子どもと面会することが,子どもの成長にとって好ましくない事情がない場合に,子どもとの面会交流を認めない場合に,慰謝料請求が認められる場合があります。実際に,認めた裁判例もあります。代表的な例として,静岡地方裁判所の平成11年の裁判例が挙げられます。よく,面会交流を妨害された場合の慰謝料請求について見かける裁判例です。

 この裁判例では,面会交流を拒む理由として主張したことが認められず,逆に面会交流を認めないのが親権を取った親の幼稚な態度と認定されています。他の事情も踏まえて,損害賠償請求を認めています。ただし,この裁判例は控訴され,高等裁判所での審理に移ったようですが,最終的にどういう結末を迎えたのかは不明です。

 

 面会交流が実現できないことについての慰謝料請求について認めない裁判例も多くあります,そうした裁判例では,面会を求める親の側の言動等が子供の成長にとって好ましくない影響を与えていること等を理由に,慰謝料請求を認めない判断をしている傾向にあるようです。ですから,面会交流が実現できないからといって,常に慰謝料請求が認められるわけでもありません。

 

 慰謝料請求については,相手への圧力という要素はあるものの,慰謝料請求の裁判を通じて親双方の感情的な対立を激化する問題があるように思われます。そうした対立の激化が,子どもとの面会交流実現にマイナスの要素を及ぼす可能性もあります。面会交流自体は強制できませんから。まして,慰謝料を支払うお金が親権を取った親にない場合には,お金も取れず子どもとの面会交流もできないリスクが出てくるよウに感じられます。

 

 面会交流に正当な理由(子どもとの面会が,子どもの成長にとって悪影響を与える事情)がないのに,面会交流に全く応じないような事情が,離婚後の子どもの親権者変更をする理由の一つになる可能性はあります。ここでの子どもとの面会交流に応じないというのは,離婚後の話です。親権者変更について,詳しくは別の機会に触れたいと思います。

 

 

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