法律のいろは

離婚と財産分与(その⑬)

2013年6月14日 更新 

 離婚の際の財産分与について,夫婦で築いてきた財産を清算するのが中心という話は,これまで何度も繰り返してきました。

 いつの時点の財産を基準にするのかという点についてですが,離婚をする際(協議離婚なら,離婚届を出す直前・調停離婚なら,調停成立の直前等)という考え方もあります。ただ,普通は,夫婦が協力して財産を築いてきたのは,別居するまでだからということで,結婚してから別居時までに築いてきた財産を清算すると考えることになります。

 

 注意していただきたいのは,株式などの価格の変動が大きいもののいつの時点の価格を基準にするかとは,少し話が変わってくることがありうる点です。

 別居時までに築いてきたお金が財産分与で清算する対象だとした場合に,別居後に増えた部分と減った部分はどうなるのでしょうか?当然,別居後に財産が増えても減っても,清算をするのは,別居時までに築いた財産です。ですから,別居後に増えても減っても影響はありません。繰り返しですが,株式などの価格が変動したことで増えた・減ったというのは,いつの時点の価格を基準とするのかという話です。そのため,ここでいう話とは違います。

 ここでの話は,たとえば,銀行預金が増えたとか減ったとか,財産自体が増えた・減ったという話です。

 

 特に,銀行預金などの目減りが起きた場合はどうなるのでしょうか?たとえば,別居後に預金の名義人である配偶者が,競馬などにお金をつぎ込んでしまったようなケースです。先ほどから,話していますように,銀行預金の目減りは財産分与では考慮されません。

 ですから,この場合は,目減りした分は,使い込んだ配偶者が財産分与での自分の取り分を使ったと考えることになります。たとえば,1000万円あった銀行預金を半分使い込んだ場合には,他の財産がなければ,使った配偶者には取り分がないことになります。600万円を使い込んだ場合には,使い込んだ配偶者は残った預金とは別に,100万円を他方の配偶者に支払う必要があります。

 

 使い込み過ぎた場合には,場合によっては,支払うべきお金の確保をどうするのかという問題が出てくる可能性はあります。簡単に言えば,お金の回収という問題です。使い込んだ配偶者に,仕事や財産がない場合には,大きな問題となることも十分にありうることです。

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