法律のいろは

こんな理由で離婚は認められますか?(離婚理由その⑦)

2013年6月15日 更新 

 離婚しようか迷っているのだけれども,離婚できる理由にあたるのかどうかという話を伺うことはよくあります。

 そこで伺う話は色々ですが,よくある話の中で,どれくらいの期間別居すれば離婚できるのかという話もあります。この話が問題になるのは,夫婦の関係の修復をするための話し合いができないのだけれども,相手配偶者が離婚をしたくないという場合です。つまり,自分は離婚を決意したけれども,相手が離婚はいただという場合ですね。

 

 そもそも,別居とはどういう状態を言うのでしょうか?夫婦が別の場所に住んでいることが別居ではないかという考えが,まず浮かんでくるところですね。ところが,一方で「家庭内別居」といって,夫婦が一緒の家に住んでいるのに別居ということもあります。夫婦が別々に住んでいても,単身赴任という形もあります。

 離婚裁判での離婚原因である「婚姻を継続しがたい重大な事由」とは,夫婦関係が破綻していることです。別居が積み重なったから,夫婦関係が破綻したとか,夫婦関係が破綻したから別居したという話が言われることがあります。実際にどちらかは,ケースバイケースですが,少なくとも夫婦共同生活という実体がなくなった状態が別居ということができるといえるでしょう。

 夫婦には法律上同居義務があるところです。ですから,別居はその義務を守っていないことになります。とはいえ,正当な理由があれば,同居を拒むことができるとされているところです。夫婦関係が破綻したという判断の原因となる別居には,正当な理由があるということになります。実際に同居義務がない正当な理由について,裁判例がどのような判断をしているのかは,別の機会に詳しく触れます。

 

 ですから,同じ家に住んでいても,全く夫婦の間でやり取りがな共同生活をしているとは言い難い場合は別居といえるでしょう。家庭内別居が別居といわれる所以です。逆に,夫婦が別々に住んでいても,夫婦の間で行き来があって,夫婦共同の生活の実体があれば,別居とは言えないことになります。

 

 よく伺うのは,離婚を決意して別居したのだけれども,どれくらい別居すれば,相手配偶者が離婚したくないと言っても離婚できるのかというものがあります。民法という法律の改正案(要綱)に5年の別居を離婚原因とすることが以前検討されたことがあります。このことを理由に,別居5年が夫婦関係破綻のメルクマールだという話をよく見かけます。

 しかし,別居にはそれに先行する様々な事情がありますし,別居後の夫婦間のやりとや修復に向けた話し合いがなったか等様々な事情があります。夫婦関係が破綻したかどうかはこうした事情も大きな意味を持ちますので,何年別居したから離婚できる・離婚できないという問題ではないと思われます。

 結局ケースバイケースですから,疑問に思った場合には,専門家に相談してみるのも一つの方法かもしれません。

 

 

 

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