前回、「婚姻費用」とは何か、ということについての前ふり的なお話しをしました(だいぶ前ですが…)。
今回は、婚姻費用(生活費)がいくらになるかを割り出す目安として使われる、「婚姻費用算定表」を中心にお話ししたいと思います。
「婚姻費用算定表」は、以前養育費のところでお話しした、「養育費算定表」と同じく、金額の算定をより簡単に、早く出せるよう考えられたものです。
本来は個別のケースに応じて、支払を求める側、行う側の収入を考慮して算出することになります。ただ、そうなると、妥当な金額を導き出すのにかえって時間がかかり、紛争もややこしくなりかねません。
そのため、まず「婚姻費用算定表」で妥当な婚姻費用(生活費)を導き出し、不公平な部分があれば、そのときに個別の事情を考慮して修正していくことになります。これは養育費の場合と同様です。
算定表の根拠となる算定方式は、支払をする義務ある配偶者、支払を受ける配偶者の実際の収入をベースにします。そこから税金・職業費・特別経費などの標準的な割合を差し引きます。これに支払をする義務ある配偶者、支払を受ける配偶者、子どもの標準的な生活費を指数にして按分するという方法で計算をします。
職業費とは、洋服代、交通費や交際費など給与所得者として仕事をするために必要な経費のことをいいます。算定方式では、統計資料から推計した標準的な割合から金額を推定します。
特別経費は、住居費・医療費など、家計費の中で金額を変更することが簡単にできないものを指します。
このあたりは、養育費算定表の場合と同じです。
婚姻費用(生活費)を支払う義務がある配偶者は、他方の配偶者・子どもと同居している場合には、婚姻費用(生活費)を負担します。別居したとしても、本来同居しているときに負担すべき婚姻費用(生活費)は、原則として負担しなければなりません。
つまり、算定方式は、支払う義務ある配偶者、支払を請求する配偶者、子どもが同居しているとしてら、いくら生活費をして払う(分担する)べきかを計算するものといえます。
次回は、婚姻費用(生活費)を具体的に計算するにあたっての計算式について、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
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