法律のいろは

離婚と財産分与(その⑯)

2013年6月24日 更新 

 前回・前々回と離婚後の生活援助としての財産分与の話をしました。今回は補足です。

 

 まず,離婚後の生活援助は原則としてなされないし,する義務は法律上当然には出てこないという点に注意してください。あくまで,離婚の際に十分なお金の給付がないうえに,離婚後に元夫婦間で大きな経済的格差が出て,一方が生活に困る際に初めて問題となります。公平の点から経済的な自立まで生活費の負担を離婚後も認めるものです。

 

 生活費の負担といっても,離婚前とは異なり,あくまで支払う方に余力のある範囲内での支払いということになります。ですから,支払う方の経済的な余力や貰う方が働いているかどうかなどは支払いをするかどうか・金額で考慮されます。

 一般には離婚後1年から3年以内の離婚後の生活費の援助を認める傾向にあるようです。最大で5年分の生活費の援助を認めた例もあるようですが,あくまでもこうした例もあるといったレベルで考えておいた方がいいでしょう。

 

 ちなみに,離婚後に夫婦の一方が病気で働けないような事情があった場合にもう少し長く援助は認められないのかという考えが出てくるかもしれません。繰り返しですが,離婚後に元夫婦の間で生活費の負担義務はないのが原則です。

 元夫婦の間で,離婚に際して,離婚後もずっと生活費の支払いをするという約束があれば,その約束にもとづいてお金の支払いの義務が出てきます。ただし,ここでのお金の支払いはあくまで約束にもとづいてのものですから,生活費の援助を財産分与として行うというものではありません。あくまで約束ですから,養育費や婚姻費用のように,算定表にもとづいてある程度算定されるというものではありません。ご本人で自由に決めることができるものです。

 あくまでも,財産分与としての生活費の援助は先ほど述べた範囲内でのものになると思われます。繰り返しですが,離婚の際の話し合い(協議離婚・調停離婚・和解離婚)で離婚の前提として先ほど述べた約束をすることは可能です。

 

 

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