法律のいろは

婚姻費用とは何ですか?(その⑦~相手の住む家の住宅ローンなどは考慮されるの?~)

2013年7月2日 更新 

 たとえば、妻と子どもが別居して賃貸住宅に住んでいて、その家賃を夫が払っているという場合があります。

 また、逆に夫が家を出て別居しており、妻と子どもが元の住宅にそのまま住んでいる、住宅ローンはあるが夫が支払をしていることもあります。

 このように、相手の家賃を負担していること・住宅ローンの支払をしていることが、婚姻費用(生活費)の算出にあたって考慮してもらえるでしょうか。

○ 婚姻費用(生活費)を受け取る権利がある者の家賃を、支払義務ある者が負担しているとき

 婚姻費用(生活費)を受け取る権利がある者の住居費を支払っていることから、支払義務ある者が婚姻費用(生活費)の一部を支払っているといえます。

 ですので、支払義務ある者は、それぞれの収入に応じて算出された婚姻費用(生活費)の額から、住居費を引いた残りを支払えばよいことになります。

○ 婚姻費用(生活費)を受け取る権利がある者・その子の住む家の住宅ローンを支払っている場合

 この場合も、本来婚姻費用(生活費)を受け取る権利がある者、その子が家から出て賃貸住宅に住めばかかる家賃を、住宅ローンの支払により免れているといえることから、義務者が支払ってい住宅ローンをそのまま、それぞれの収入から算出された婚姻費用(生活費)から差し引くべきように思われます。

 ただ、そうなると、月々の住宅ローンの額はそこそこであることから、差し引いて残る婚姻費用(生活費)の額はわずかになってしまいかねません。

 また、住宅ローンの支払は、他の物件を借りる場合の家賃分、という意味合い以上に、夫婦の共有財産の維持・形成という側面もあります。

 普段の生活維持を越えて、資産形成を優先させてしまう結果になるのは妥当ではないでしょう。

 とはいえ、全く考慮しないとなると、婚姻費用(生活費)を支払う義務ある者は、住宅ローンの支払と、自分の住んでいるところの家賃の支払いと、二重に負担を負ってしまうことになります。

 そこで、両者の収入のバランス・住宅ローンの額などを考慮して収入額を調整したり、実際に同じ物件を借りた場合にかかる家賃分を収入から差し引き算出した額を、婚姻費用(生活費)とするなどして調整していくことになります。

 

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