法律のいろは

ハラスメントと労働問題(その④~セクハラとは?(4)~)

2013年7月5日 更新 

 前回、セクハラについて会社で相談できる窓口がない場合、あるいは対応してくれないとき、利用できるところとして、都道府県労働局雇用均等室があるとお話ししました。

 今日は、この雇用均等室で利用できる手続きについてお話ししたいと思います。

① 労働局長による援助

 

 たとえば、セクハラの被害を受けて、会社の相談窓口に話したが、対応が不十分、会社に今回の件の慰謝料と、セクハラをした人にしかるべき処分と納得できるような再発防止策をとってもらいたい、という場合、都道府県の労働局に出向くか、電話で援助の申立をします。

 申立書などの書面を提出する必要はありません。

 都道府県労働局長は、申立をした人・事業主から事情を聴き、必要であれば会社の同僚など第三者からも話を聞くことになります。

 その上で、たとえば上の例ですと、事業主に今後同様の被害が起きないよう、均等法に基づいた適切な再発防止策を立てるよう助言・指導、場合により勧告をしたり・セクハラ被害の事実の確認、確認できれば適切な額の慰謝料の支払いを検討するよう助言など行います。

 これをセクハラの被害を訴えている人・事業主双方が受け入れれば援助により紛争がまとまることになります。

 セクハラ被害を訴えた人が援助の申立を取り下げた・事業主が援助申立てに対して協力的でなく、事情聴取が難しい、お互いの主張にへだたりがありすぎ、まとめることが難しい、といったときは、援助の手続きは打ち切られることになります。

 その場合でも、②の申立をすることはできるようになっています。

② 機会均等調停会議による調停

  

 調停申立の場合は、都道府県労働局雇用機会均等室へ調停申請書を提出する必要があります。ここは電話での申立でも可能な、労働局長による援助の制度と異なります。

 調停会議は非公開で行われます。調停では、調停委員(弁護士や大学教授など)が、調停申立をした人・事業主側双方から事情を聴き、紛争をまとめるために調停案を作ります。

 調停申立をした人・事業主側いずれも調停案を受け入れたときは、調停でまとまるということになります。

 調停で示された案を受け入れたとき、その合意は民法上の和解契約をしたということになります。仮に受け入れたあと、事業主が決められた義務(たとえば解決金の支払い)をしないとき、債務不履行を主張されることになります。

 ただ、裁判による判決のような強い効力は認められていないので、強制的に事業主の資産などから回収をする(強制執行をする)ことはできないので注意が必要です。

 もし、調停の申立てをした人・事業主双方に意見のへだたりがあってまとまるのが難しいときや、双方が調停委員の示した調停案を受け入れないとき、調停は打ち切りとなります。

 それでも調停申立をした人が紛争の解決を希望すれば、裁判手続きによる他なくなります。

 

 

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