法律のいろは

スムーズな相続にするには?(その⑨~遺言書作成後のアフターフォロー(1)~)

2013年7月18日 更新 

 これまでも度々お話しをしていますが、せっかく遺言書を作成しても、年月が経てば状況が変わるのはよくあることです。たとえば、特に財産が増えた、家族が増えた(相続人も増えた)、遺言書では〇○に財産を相続させようと思っていたが、別の相続人である△△により多く財産を相続させたいと思うようになった…など。

 

 できれば遺言書は一度作成しても、何年かに一度内容を見直す必要が出てくることもありえます。ご自身との折り合いやある財産を相続をさせようと思っていた相続人の意向の変化(例えば,家業を継ぐのをやめたなど)などがあった場合には内容を見直さないと当初の想定から崩れてしまうこともありえます。

 見直しをした上で、やはり内容を変更したいと思った場合には、遺言書を再度作り直す必要が出てきます。

 今回は、こういった一度遺言書を作成したが、あとで作り直す必要が出て来た場合の注意点をお話ししたいと思います。

 

 遺言は、遺言者の最終的な意思を尊重するためにあるということから、一度作成した遺言書でも、いつでも遺言の全部または一部を撤回できるとなっています。

 ただ、遺言を撤回するには、遺言の方式(自筆証書遺言・公正証書遺言など、民法で決められた遺言のやり方)によらなければなりません。

 方式が民法で決められたものによっていれば、たとえば公正証書遺言で作っていたものを自筆証書遺言で撤回してもかまいません。

 内容を撤回する場合は、遺言の中でどこの部分を撤回するか特定して、「撤回する」など、遺言により発生する効果をはっきりと否定しているのが分かるようにしておくと、あとでもめ事にならなくてよいでしょう。どこが撤回されてどこが撤回されていないのか・撤回された部分がその後どういう内容かが明確になっていないと,遺言の内容をめぐってトラブルになる可能性があるためです。また,時系列から見て何を・いつ・どのように変更したのかも把握しておくことは重要です。そうでないと,ご自身の意思が反映されているかどうかよくわからなくなるためです。

 

 また、上記のような「撤回する」などの記載がなくても、以下のような場合は法律上、遺言の内容を撤回したとみなされます。

① 前の遺言と内容が抵触する遺言がされた場合→抵触している部分は前の遺言を撤回したものとみなす

② 遺言と抵触する、処分が生前行われたとき→抵触する部分は遺言を撤回したとみなす

③ 遺言者がわざと遺言書を破棄→破棄した部分は遺言を撤回したとみなす

④ 遺言者がわざと遺贈の目的物を壊した→壊した部分は遺言を撤回したとみなす

 このうち、①、③は遺言の撤回をしたというのに分かりやすいところだと思いますが、それぞれの細かいところについては、次回また触れていきたいと思います。

 

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