法律のいろは

婚姻費用とは何でしょうか?(その⑭~婚姻費用(生活費)の支払が滞ったら?(3)~)

2013年8月4日 更新 

  前々回、前回と、決められた婚姻費用(生活費)の支払が滞った場合の対処法をお話ししてきました。これまでお話ししました、履行勧告、履行命令は家庭裁判所を通じて、支払をしない相手に、支払をするよう促してもらうという制度です。家庭裁判所という公的機関から促されることで、それなりの効果もあるようです。

 とはいえ、いずれも支払を促すのみで、強制力があるわけではないため、それでも無視して支払われないケースもありえます。

そういった場合は、結局のところ給与など資産の差押えによる、強制的な手段をとるしかありません。

○ 給与など資産への差押えによる方法(強制執行)

 

 これは、公正証書や調停・審判調書のような、強制的に相手方の資産から回収できる効力を持つ書面により取り決めがなされたのに、支払がない場合、婚姻費用(生活費)の未払い分を相手方財産の差し押さえで強制的に回収するというものです。

 かつては、月ごとに発生する婚姻費用(生活費)については、期限が来たにも関わらず、支払がされていないものの合計分しか差押による回収ができませんでした。

 今では、婚姻費用(生活費)・養育費といった、定期的に支払われる債権については、一旦支払義務ある者が支払を怠れば、将来分についても差押による回収ができるようになりました。

 たとえば、毎月5万円づつ、25日限り支払と定められていたとき、既に支払が滞っていれば、平成25年8月分についても差押ができます。

 ただ、これは、将来受け取るはずの婚姻費用(生活費)を先の分まで全部受け取れるわけではなく(逆にこれが可能だと、その間離婚が成立したとき清算が必要になり、面倒となるでしょうが)、あくまでも期限が来るごとに、ということになります。

 とはいえ、以前は期限が来るたびに差押をしないといけなかったものが、一度申立をすればそのあとは毎月支払期限が来るたびに婚姻費用(生活費)の差押えが可能になったのです。そういう点で、申立をする方からすれば、毎回申立をすることの手間・費用がかからずに済むことになったといえます。

 相手方の資産に対する差押による、強制的な回収については、さらに注意すべき点がいくつかあります。次回、その注意点をお話ししていきたいと思います。

 

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