法律のいろは

離婚と財産分与(その21)

2013年8月8日 更新 

 今回もマンションや一軒家が夫婦共有の財産に含まれている際の話の続きです。このコラムでだいぶ前にオーバーローン(住宅ローンが家の今の価格を上回る状態)の話をしました。住宅ローンの金額が家の今の価格を下回っていても,こうした家の清算には色々な問題が生じてきます。マンションの場合には整理する点が少し増えます。

 

 前回,住宅ローンや保証人の話について触れました。離婚する際には,夫婦が一緒に住むことは考えがたいですし,第3者に貸して賃料収入を得るという場合もそんなには多くないかと思われます。夫婦の一方が住み続けるという場合が多いと思われますが,その際に考えておくべきこと・決めておくべきことは結構あります。

 なお,これまでの話は最初にも書きましたように,多くの場合を占めると思われる夫婦が結婚後に夫婦のお金で家を買った場合の話です。夫婦どちらかの固有の財産の場合にどうするのかという話は次回以降に触れたいと思います。

 

 これまでの話では,住み続ける方の配偶者にマンション(あるいは一軒家)を財産分与することになります。この場合の一番の問題点が住宅ローンと保証人の問題であることは前回触れたとおりです。一般論として,夫が住宅ローンの借主となっていて,妻が保証人,家には抵当権がついているという場合が多いのではないかと思われます。

 この例で,夫が家を取得するのであれば,問題は妻を保証人からどのように外していくかということになるでしょう。この場合には,金融機関と夫の側で交渉することになりますが,夫の側で妻にかわる保証人の確保・別の金融機関から借り入れをすることで今の住宅ローンを返済するなどの対応を取る必要が出てくるケースが多いものと思われます。この段階で保証人から外れるかどうかわからないのに離婚を含め合意するのは難しいという考えを持たれる方はおられるかもしれません。

 この場合の問題は難しいですが,一般論としては保証人から外すという努力条項を離婚協議書や離婚調停の調停調書等に入れる例が多いと思われます。あくまでも,この例では夫の支払い能力に対する信頼がどこまで確保できるかが大きなポイントになってくるものと考えられます。

 

 今述べた例では,光熱費や管理費,修繕積立金は夫の支払い(口座)になっている例が多いと考えられます。そのため,これらの負担をどうするのかという問題はそれほどは生じないでしょう。

 

 問題は,先ほどの例で妻が家を取得する場合ですが,この問題については次回に触れたいと思います。

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