法律のいろは

交通事故にあった事で仕事ができなくなった分の損害賠償はどうなるのでしょうか?(その⑳)

2013年8月29日 更新 

 交通事故被害にあって働けなくなった部分の損害賠償がどうなるのかについて,これまで何度か触れてきました。症状固定という状態(法律上の評価にすぎません)以降の後遺症逸失利益と呼ばれるものに関して,ここ何度かお話ししています。今回は久しぶりですが,その続きです。

 

 前回労働能力を失う期間はどのくらいかということについて話をしました。その始まりは,症状固定(痛みなどは残るけれども,大きくは症状改善が見込めない状況のことです。あくまでも法律上の扱いです)の日です。終わりは原則として67歳です。

 また,症状固定の日が67歳以降の場合は,簡易生命表でみて平均余命の二分の一の期間である等の話を含めて,前回しました。ただし,以上は原則ですので,事故にあった方の職種や地位,健康状態などの色々な状況によっては,例外が十分ありうるところです。また状態によっては,症状固定の日以降の労働能力が失われた期間を区分して,労働能力の失われた程度が徐々に緩和するという扱いをする例も例外的にはありえます。

 

 労働能力が失われた期間で一番問題となるのは,いわゆる「むち打ち症」(頸椎捻挫)です。「むち打ち症」は後遺症と認められるのかどうかについても問題となるところですが,後遺症と認められたとしても,その期間についても問題となります。

 「むち打ち症」が後遺症認定される場合は自賠責保険の法令における後遺症等級の12級か14級のどちらかになります。こうして後遺症が認定された場合,12級でも10年程度・14級では5年程度で労働能力の喪失が終わるという扱いがされる例が割とあります。ただし,これは絶対的なものではありませんので,加害者側と交渉の際には被害者としては具体的な後遺症の状況に目を配った方がいいように思われます。もちろん,逆に加害者側としては(多くは加入保険会社側が交渉する形になるかと思われますけど),上記の一般論か更に短い期間を主張することになるのではないでしょうか?

 

 実際のところ,むち打ち症の問題の多くは後遺症認定されるかどうかではないかという印象がありますが,それだけではないというところは注意しておいた方がいいような気がします。

 

 後遺症の程度は量が多くかつ問題が大きいのですが,次回以降簡単に触れていきたいと思います。

 

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