離婚の前後での未成年の子どもと同居していない親(養育監護していない親)との面会の話について,裁判所が判断する場合の考慮要素を前回から述べています。前回は,子どもの側の事情に関して触れました。今回は親の側の事情について述べます。
前回も少し触れましたが,離婚の前でかつ子どもの親権についてもめている場合には,親双方の不信や感情の対立が大きく困難な問題が生じます。こうした問題ゆえに折り合いがつけにくく,審判(裁判所の判断)に至る可能性が出てきます。
親の側の事情として,
①申し立ての目的(嫌がらせなどの事情があるかどうか)
②同居していない親と子供との関係(親から暴力があったかどうか,人格的な偏り等の
問題点があるかどうか等)
③親同士の葛藤の有無や程度(先ほど話しましたように,子どもの親権が問題になって
いるケース・これまでの言動から特に子どもの連れ去りなどの懸念などが生じて,相互
の不信が高まっているケース等では,葛藤の程度は大きい印象があります)
④同居していない親が,子どもを養育監護している親の養育監護方針に不当な介入をし
ているのかどうか
⑤これまで面会を実施していた場合には,その際の同居していない親の言動の内容に大
きな問題があったかどうか
その他色々な事情が考慮されることになります。
このうち,②について,子どもへの暴力など明らかな悪影響を及ぼす事情があれば,
面会は認められないことがありえます。③については,親同士の対立が大きい場合に
は,子どもへの影響は当然大きくなります。子供への悪影響を理由に面会を認めない裁
判例もあります。その一方で,こうした程度には面会の程度や様子を見ながらなどとい
った対応で対処すべきということから,面会自体は認めた裁判例もあります。あくまで
個別の状況によってケースバイケースとなりますが,面会自体は認める裁判例が増えて
きている印象はあります(ただし,葛藤に応じた面会の頻度にはなろうかと思われま
す)。親の対立が激しいケースについては,次回補足します。
離婚後の面会については,養育監護している親が再婚している場合には,再婚家庭へ
与える影響(子どもへの影響でもあります)から面会を認めないケースもあるようで
す。ただし,あくまでケースバイケースですので,認めた例もありますから,個別の事
情をよく見極めた方がいいでしょう。
次回に続きます。
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