法律のいろは

給料・賃金をめぐる法律問題(その③)

2013年11月2日 更新 

 これまで、賃金とは何か、どんなものが賃金にあたるかをお話ししてきました(だいぶ前になりますが…)。

 今回は、賃金は誰が、どのように決めるのか、などについてお話ししたいと思います。

 賃金は、法律が決めるのでも、使用者だけが勝手に決めるものではありません。賃金は労働契約の中でも重要なものですから、使用者と労働者双方の合意によって決められるべきものです。具体的には、金額・基準・支払の仕方などを決めることになります。

 ただ、会社の規模が大きい場合には、このように使用者と労働者が個別に合意して決めるというのは現実的ではありません。そのような場合は、公平になるよう・また合理的に決められるよう制度的に定めているのが通常でしょう。組合が会社内にあれば、団体交渉で賃金について交渉することになるでしょう。

 賃金については、このように使用者と労働者が合意して定めるのが原則になりますが、ことに労働者個人では、使用者である企業と対等、とはいえなのが普通です。そうなると、使用者のいうがままの条件で賃金が決められかねないところがあります。そのため、賃金が底抜けになるのを防ぐため、法律上の規制として、最低賃金制があります。

 最低賃金法では、厚生労働大臣または都道府県労働局長が、最低賃金審査会というところの調査・審議を経て、地域ごとに最低賃金を決めることになっています。

 最低賃金は時間により決められ、金額は厚生労働省のホームページや労働基準監督署で分かります。ちなみに、平成25年度地域別最低賃金改定(最新のもの)では、広島の最低賃金は733円となっています。

 もし、最低賃金以下の取り決めをしたときは、賃金は法定額まで引き上げられ、使用者には処罰規定があります。

 また、労働者を保護するための規定としては、このほかにも出来高払いを保障する規定があります。これは、タクシー運転手など、出来高払いその他の請負制により働く労働者について、労働時間に応じて一定額の賃金を保証しなければならないというものです。

 ここにいう、「請負制」は、労働の結果としてどのくらい生産的な内容を行ったかで賃金が支払われるものをいいます。雇用の場合のように、労働時間に応じた賃金が支払われるケースとは異なります。

 次回に続きます。

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