法律のいろは

給料・賃金をめぐる法律問題(その①)

2013年9月1日 更新 

 言わずと知れたことかと思いますが、賃金は、労働の対価として使用者が労働者に支払うもののことを言います。民法では、

雇用契約のところで、当事者の一方が「労働に従事し」これに対する「報酬」を払うもの、と定めていますが、この「報酬」が賃金ということになります。

 賃金は、労働契約の内容として、一番重要なものですから、使用者と労働者の合意で決めるものです。といっても労働者単独では使用者と実質的に対等な立場とは言い難い、弱い立場です。実際のところは労働者が労働組合に加入することで使用者と賃金の交渉をすることが多いと思われます。

○ 労働の対償・対価としての賃金

 では、そもそも具体的にはどういうものが賃金にあたるのでしょうか?労働基準法では、「賃金」の要件として次の2つが必要としています。

 ① 労働の対償であること

 ② 使用者が労働者に支払うもの

 このうち、まず、労働の対償かどうかですが、具体的に労働者が受け取ったものの性質や内容から個別に判断することになりますが、そうなるとなかなか判断が難しいことになります。

 そこで、通達等では任意的な恩恵としての給付・福利厚生としての給付・企業設備・業務費にあたるものは「賃金」にあたらずとしてきました。

 任意的な恩恵としての給付にあたるものとして、まず思いつくのは結婚の祝い金や病気のお見舞い金、弔慰金などです。ただ、こういったものでも労働協約や就業規則で支給条件があらかじめ明確に決まっていて、そのため使用者に支払義務があれば、労働の対償とされ、「賃金」と扱われるので注意が必要です。

 福利厚生としての給付は、文字通り労働者の福利厚生にあてるために支給する費用等なので、「賃金」にはあたりません。代表的なものとしては、住宅貸与や会社の従業員用の各種共同で利用できる施設があげられます。これに対して、家族手当・住宅手当は、賃金規程などで制度として定められていれば、「賃金」にあたります。

 企業施設や業務費は、会社が業務をする上で負担する費用のことで、作業服や出張旅費、交際費などがあたります。ただ、通勤手当については、本来通勤の費用は労働者が負担すべきものですから、支給のための定めがあれば「賃金」となります。

 このように、一見賃金にあたらなそうなものでも、就業規則や賃金規程などで支給基準など定められていれば「賃金」となるものもありますので、振り分けには気をつける必要があります。

 

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