法律のいろは

内縁の場合にも不倫・不貞の慰謝料請求の問題は出てくるのでしょうか?(内縁その⑤)

2013年9月3日 更新 

 前回,婚姻関係が破綻した後に不倫・不貞の慰謝料請求ができるのかという話に触れました。少し,話を戻しますと,不倫・不貞を理由に慰謝料請求する場合に,既に別居した夫婦で不倫・不貞をされた方から,不倫・不貞をした2人(あるいは,配偶者ではない不倫・不貞の相手方だけという例も割とあります)に対して慰謝料請求をする場合があります。

 この場合に,不倫・不貞の事実が争い難いと判断しても,結婚しているとは分かりえなかったという話とともに,夫婦関係が破綻した後の不倫・不貞だから慰謝料を払う責任は負わないという反論は見かけるところです。ですから,内縁の場合でなくても,良く問題となる点ではあります。

 

 重婚的内縁の関係にあった場合に,浮気に対して慰謝料請求できるのかという話について,触れていきます。これは,前回までの話から基本的には認められる方向になります。もちろん,内縁といえるのかどうか・その実態などはケースバイケースです。浮気が単に一過性のものであれば慰謝料請求までは認められない可能性もあります。また,浮気の継続について浮気相手が知らないとか知りえない事情があった・内縁の相手方が圧倒的に浮気をリードしたという事情がある場合も同様の可能性があります。

 これは主に,浮気の相手方の話です。内縁の相手方も基本的には同じですが,以前も触れましたように,内縁の解消後に慰謝料請求する例が多いように思われます。

 この場合,重婚的内縁では,自分も不貞・不倫をしている場合がありますけど,それでも慰謝料請求ができるのかは一応問題とはなります。この問題について,内縁の相手方に浮気をされて別れたというわけではありませんが,次のような裁判例があります。

 

 内容は,妻と別れて再婚する可能ように装った男性から不倫・不貞関係をもちかけられた女性が,男性と交際したものの,子どもの妊娠が分かった後に男性から避けられて別れることを余儀なくされたというケースです。男性には離婚の意思も離婚できる状況にもなかったという事情があります。

 こうしたケースについて,いかに不倫・不貞をしていたとしても,そうした関係に至った経緯や内容等(動機や双方の言動の内容等)をふまえて,男性側の悪質性が女性の不倫不貞を行ったという悪質性に比べて著しく大きいということができれば,女性の男性に対する慰謝料請求を認めるという判断がされています。

 

 重婚的内縁についても同じように考えることができます。この場合は,男性側が更に浮気をしている等の事情が考慮要素となって,慰謝料請求が認められるケースも多く出てくるのではないかと思われます。もっとも,ケースバイケースである点には注意が必要です。

 

 次回に続きます。

 

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