法律のいろは

協議離婚について(その⑥)

2013年9月9日 更新 

 前回は、離婚届の不受理申出についてお話しをしました。

 今回は、一旦応じた離婚の意思を撤回したいと思ったが、不受理申出が間に合わず相手が離婚届を出してしまった、あるいは勝手に離婚届を出されてしまった(これ自体が勝手に離婚に応じない配偶者の署名を偽造し、提出したということで,犯罪になりえますが…)というとき、どうすればよいかをお話しします。

 法律上は、離婚届を提出する意思があって提出されない限り、離婚の効果は生じない、つまり無効ということになります。ただ、一度離婚届が受理されると、戸籍上離婚と記載されてしまうことから、その記載を訂正してもらうには、離婚が無効である旨を裁判所に判断してもらう必要があります。

 

 その場合、離婚が有効かどうかといった、家庭に関することについては、まず裁判所内での話合いから、ということで協議離婚無効調停の申立てをしなければなりません。実際のところ、相手が来なかったり、話合いで協議離婚を撤回することが難しいでしょうから、調停で決着をするケースは多くはないと思います。

 ただ、合意で協議離婚を撤回するという話合いが夫婦でついた場合はどうなるでしょうか?協議離婚が無効かどうかということは、本来話合いで決めるものではなく、裁判所が判断して決めることなのです。ですので、この場合は、夫婦の合意に加えて、家庭裁判所が必要な事実関係について調査をして、調停委員の意見を聞いた上で裁判官が合意に相当する審判を行うことになります。

 本当であれば、協議離婚が有効かどうかということは裁判で行うべきですが、夫婦で合意ができているのであれば、ざわざ手間暇をかけて裁判でせずともよいのではないかということがいえます。裁判よりも簡単に、早く協議離婚を撤回できる手続きとして、この「合意に相当する審判」の制度が設けられています。

 裁判所内での話合い(調停)で夫婦の合意ができなければ、不成立となり、それでも協議離婚が無効であると主張する方が、協議離婚無効確認の訴えを起こす必要があります。

 協議離婚で実際のところ、ときどきあるのが、本当は離婚するつもりがないのに、借金から逃れるために、とか姓を変えるためなどの理由で仮装して離婚届を出すというケースです。この場合は、離婚届を出すときは、仮装とはいえ、離婚する意思が形式的にはあったことになります。こういった場合、のちに協議離婚が無効であったと争えるか、については次回お話ししたいと思います。

 

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。