法律のいろは

別居後に同居を求めることはできるのでしょうか?(その②)

2013年9月22日 更新 

 前回,同居を拒むことに「正当な理由」がない限り,夫婦は同居義務を負うという話をしました。ただ,実際,別居ということは時々見かけます。この場合に,「正当な理由」は存在するのでしょうか?

 

 そもそも,「正当な理由」とはどのようなものなのでしょうか?法律上は,どういった場合が「正当な理由」なのかは書いてありません。前回も触れましたように,同居を求める話し合いが難しい場合に,家庭裁判所が審判という形で判断をする際に示されています。

 この審判では,同居するのか・しないのかの判断,同居するのであればどういう形なのかを判断することになります。そのため,同居しないのか・同居するのかの判断の中で,基準が示されることになります。

 問題なく,「正当な理由」があると判断されているものとして

 ①同居を求める配偶者の側に別居に至った重大な原因があるもの。

  重大な原因としては,不倫をした・暴力や虐待行為,重大な侮辱などのひどいDVがある

 ②同居することが事実上無理である場合

  たとえば,夫婦のどちらかが入院している等の事情がある場合

 ③仕事上・子どもの養育上の特別の必要がある場合

 が挙げられます。いわゆるDVの場合は,①にあたるということになろうかと思われます。

 

 これに対して,世の中の別居の原因で一番多いのではないかと思われるのは,夫婦の仲がうまくいかなくなったということではないでしょうか?

 この原因に関しては裁判例(審判例)の結論は色々と別れています。また,「正当な理由がある」という結論を出している裁判例(審判例)も基準の言い方は違っています。

 ある例では「夫婦が助け合うよりも,互いを傷つけ合い,個人の尊厳を損なう可能性が  高いかどうか」を問題にしています。また,別の例では「回復が困難な程度程度に夫婦関係が壊れているかどうか」を問題にしています。この考え方だと,回復困難とまで言えなければ,「正当な理由」は認めにくくなるように思われます。その一方で,同居を求められた配偶者の拒否の意思が固いときには「正当な理由」を認めた例もあります。

 

 統一的に言うのであれば,夫婦の関係が壊れてしまって,修復が期待できないため,同居を認めても意味がないような場合が「正当な理由」ありとされる傾向にあるとすると考えられます。問題は,どこまでいけば,そうした状態になると言えるのかというところですが,これはケースバイケースといえます。そもそも,別居した以上は離婚もやむを得ないという方から,どうしても復縁して同居したいという方までおられますし,その方の事情に応じて様々考えられるからです。

 

 次回,補足などします。

  

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