法律のいろは

給料・賃金をめぐる法律問題(その②)

2013年10月4日 更新 

 前回(少し前になりますが…)、「賃金」の要件としてどんなものが必要になるか、という点から具体的に問題になりそうなものをいくつか挙げて、「賃金」といえるかをお話ししました。

 今回は、賃金の要件のうち、② 使用者が労働者に支払うもの、という点について問題となりそうなものを少し触れたいと思います。

 これが問題になりうる場合としては、日本では多くはないと思いますが、飲食店などで客が従業員に支払うチップが挙げられます。こういったケースでは、客が直接従業員に支払っている以上、基本的には「使用者が労働者に支払うもの」といえず、賃金にはあたらないことになります。

 これに対して、レストランなどで客が店にサービス料を支払い、それを店から当日仕事をした労働者に機械的に振り分けるときは、使用者である店が支払っているということができます。

○ 平均賃金について

 労働基準法上の賃金については、前回触れたように定義付けができますが、同じ労働基準法の中で、「平均賃金」という言葉があります。

 これは、解雇をする場合に30日前に予告をしないとき払わなければならない、解雇予告手当・使用者側の都合による休業の際に払わなければならない休業手当・年次有給休暇の手当・労働災害の補償で、「平均賃金」の一定日数分、一定割合と規定しています。

 これらはどの場合も労働者の生活を保障するために会社が支払うものになります。それで、その計算をするにあたっても、労働者の普段における生活資金をそのまま反映させて計算をしていく必要があります。

 算定の仕方については、労働基準法12条で具体的に定めています。

 算定すべき事由の発生した日を含めた過去3か月分の賃金総額を、その期間の総数で割った額になります。この間に、業務上の負傷などにより療養していたり、産前産後休暇を取っていたり、試用期間が含まれているなどの場合には、賃金総額が少なくなってしまうのでその期間は除外して考えます。

 また、ボーナスなど3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除いて考えます。もっとも、年俸制の業績賞与は含まれることになっていますので、注意が必要です。 

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