法律のいろは

こんな理由で離婚が認められますか?(その⑫)

2014年1月29日 更新 

 夫婦の一方が宗教にはまってしまったことから、それを理由に離婚をしたい、という場合、離婚理由として認められるのでしょうか?

 宗教にはまったというのを理由とするのであれば、裁判上の離婚原因のうち、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」にあたることが必要になってきます。

 夫婦が、どのような宗教を信仰するかということは、それぞれ信仰の自由がある以上、それによって特段夫婦生活に影響が及ぶのでなければ、お互い尊重しあうことが必要でしょう。

 ただ、特定の宗教に一方がのめりこむことによって、たとえば宗教団体の高額な商品の購入にお金をつぎ込んだり、あるいは本来やるべき家事をせずに、ひたすら泊りがけで行事に参加をするということが続くと、夫婦共同生活を送るうえで、日常面や金銭的にも負担がかかってきます。

 夫婦共同生活を成り立たせるには、お互い協力しあい、助け合うことが必要ですから、一方が家庭を顧みず、信仰にのめりこんでしまうようになれば、協力・扶助義務を果たしているとはいえないでしょう。

 このようなことが積み重なり、もう夫婦生活をこれ以上続けるにあたって支障をきたすという状況まで至れば、婚姻関係が破たんしたといえるようになるでしょう。

 裁判例では、夫婦として共同生活を営んでいる以上、協力扶助義務の観点から宗教活動には一定の限界があるとして、妻がかなりの時間を割いて特定の宗教の集会への参加や伝道を熱心に行い、子どもにも一方的に自己の信仰する宗教の教義を教え、他方社会的にみて通常行われている節句などの行事を行うのを拒み、そのため夫婦生活が冷え込んだというケースで、離婚理由になることを認めたものがあります。

 宗教に限らないと思いますが、夫婦はお互い協力し助け合って生活をする以上、それぞれの考えや立場を尊重し、日常生活が円満にいくように配慮することが必要です。そうでなく、自分の信仰する宗教に反するような考えは一切受け入れないという姿勢をとると、普段行われている社会的な行事や冠婚葬祭で軋轢が出てくるようになります。その宗教を信仰しない相手方だけでなく、親族とも対立するような状態になれば、結婚生活が破たんしていると認定されやすくなってしまうでしょう。

 

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