法律のいろは

勝手に給料を減額されたのですが,問題はないのでしょうか(その②)?

2015年9月29日 更新 

 一度給料の金額を決める際の話・決まった後に会社側の都合で勝手に給料の引き下げをできるのかどうかという話を,前回触れました。給料をもらう側の同意があれば問題はありませんが,問題となるのは,実際にそうした同意があったといえるのかどうか等のケースが多いのではないでしょうか?それ以外には,就業規則を変更した場合や懲戒処分としての減給が比較的ありうるケースですが,労働組合が存在すれば別のパターンもありうるところです。

 前回は,会社側が就業規則をかえることで給料の減額ができることもありうるという話まで触れたかと思います。就業規則とは,会社側が作る・職場の決まりや働く条件などを定めた文書を指します。となると,会社側が自分で作った書類を変更することで勝手に給料を下げられるのか,という疑問も出てくるかもしれませんが,もちろん,自由に変更できるわけではありません。古くは裁判例,現在は法律により規制が設けられています。

 就業規則は,法律上,雇用契約で直接定めていない内容でも,勤務条件についての事項は,就業規則の中に載っている内容を契約内容に含めることができます。もちろん,無制限・無条件ではなく,内容が合理的・勤務している方に周知されている必要があります。ここでいう合理的とは何か・周知されているのはどんな状況かという話はありますが,これは別の機会に触れたいと思います。

 今回問題となる給料の引き下げは,働く条件に関して働く側にとって「不利益」な内容変更にあたります。法律上,こうした変更も一定の規制のもとでは有効とされています。その規制とは,変更した内容が合理性をもつ・変更した内容を勤務している方に周知している,というのが大きな内容です。ここで合理性とは何かが問題になりますが,給料引き下げに則っていえば,下げる内容・程度,給料を下げる必要性が会社にどの程度あるのか・給料を引き下げる分の代償はあるのか・従業員などとのやり取りの状況・その他,といういろんな事情が考慮されることになります。
 これまで多くの裁判例があるところですが,少なくとも,給料の引き下げをその程度とともにやむをえないといえるだけの事情が存在する必要があると考えられます。

 そのため,何の相談もなく会社の都合だけで簡単に言及するのはリスクを抱えるでしょう。次回に続きます。

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