法律のいろは

婚姻費用とは何でしょうか?(その⑨~こんな場合でも婚姻費用(生活費)を支払わなければいけないの?~)

2013年7月9日 更新 

 前回まで何回かにわたって、婚姻費用(生活費)の支払では、どういったものが金額算定の上で考慮してもらえるのか、をお話ししました。

 今回は、前回予告しましたように、特に婚姻費用(生活費)を支払う側(男性)からのご相談でよくある、「こんな場合でも婚姻費用(生活費)を支払わなければいけないのか?」についてお話しをしたいと思います。

 

○ 相手が家を出て行ったのに、婚姻費用(生活費)を支払わなければいけないの?

  例えば、家にいつものように帰ったら、妻と子どもの姿がなかった。どうやら、自分が留守の間に出てしまったようだ。家を出たのは妻の方なのに、婚姻費用(生活費)を支払わなければいけないのか?

  こういったご相談も時々見受けられます。

  妻に同居を求めているのに、一向に同居しようとせず、別居期間が長く続けば、同居義務違反になる場合も出てくるでしょう。その場合、妻がなぜ同居しようとしないのか、別居の原因にまで遡って考える必要があるでしょう。そうなると、支払義務を負う者が支払を免れるために主張することで話合いが長引き、かえって本来受けられるべき婚姻費用(生活費)の支払がなかなか受けられなくなりかねません。

  婚姻費用(生活費)は夫婦が本来一緒に生活をしていればかかる諸費用です。生活をしている限り、費用は発生します。たとえ相手の方が家を出たとしても、本来生活費を維持するために負担しなければならない金額分を、支払義務を負う者は支払わなければならないのです。

 

  時々、親権を主張するが、子どもについては家を出た相手がみているから、婚姻費用(生活費)を支払いたくないという方もいます。けれども、なぜ別居になったかについて、子どもに責任はないです。子どもの養育に関する費用については、いずれにせよ支払義務ある者が負担を免れることはありません。

 

○ 相手の浮気(不貞行為)が原因で別居になったのに、婚姻費用(生活費)を支払わなければいけないの?

  相手に浮気(不貞行為)がある場合、貞操義務に違反しているので、婚姻費用(生活費)の支払を当然に求められるわけではありません。

  ただ、実際のところ本当に他方が主張するような浮気(不貞行為)があるか、証拠上はっきりしない可能性もありえます。そうであるにもかかわらず、その有無の判断にこだわりすぎると、先に述べたように時間だけが長くかかります。

  基本的には、浮気(不貞行為)について、相手も認めている場合のみ、相手と同居している子どもの養育費相当分を婚姻費用(生活費)と考えて算定するのが一つでしょう。

  

  

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