法律のいろは

離婚届の提出による離婚が無効になるケースはあるのでしょうか?

2016年7月1日 更新 

 離婚をしたいと思っても配偶者が応じてくれない場合,ひょっとしたら,離婚届の署名を勝手にして提出してみたらどうかという思いが頭をよぎるかもしれません。それによって離婚ができるかもという気持ちがあるかもしれませんが,こうしたことは極めて問題があり避けるべきであると思われます。

 

 特に,自分が不倫・不貞をしてしまったという不貞行為の有責配偶者からの離婚請求は,配偶者から離婚に反対された場合に,離婚に至るハードルは極めて高くなります。相手と再婚したいからという思いがあったとしても,先ほどの行為は避けるべきでしょう。

 

 その理由は,こうした離婚届を提出しても協議離婚としては無効になりますし,犯罪になりかねないためです。そもそも,離婚届の提出によって離婚が成立するためには,お互いに離婚届を出そうとする意思が必要になります。形上だけでも離婚をする意思と言い換えることもできるでしょう。当然ですが,勝手に相手の署名や押印をして提出する離婚届には,相手方の離婚をしようとする意思はありませんから,離婚としての法律的な意味は出てきません。

 ちなみに,こうした無効である離婚の状況で結婚をすると重婚という状況になってしまいます。

 

 こうした離婚届の提出が無効であるという点については,家庭裁判所における話し合い(調停の手続き)で話し合いがつけば,そこで問題が解決します。しかし,話し合いがつかない場合には裁判手続きで解決する必要が出てきます。その際には,離婚が無効であることを確認する裁判を起こすことになります。こうした裁判では,主張された無効であることを示す事情があるのかどうか等が争われることになります。

 ちなみに,最初は勝手に離婚届けが出されていたとしても,後にそのことを知って,それならば離婚でかまわないという意向を示した場合には,離婚としては法律上有効になります。そのため,こうした事柄が存在していたのであれば,反論として主張などされることになりえます。

 

 このように,紛争になった際には大きな問題が出てきます。そもそも,特に有責配偶者からの離婚請求の場合には,離婚へのハードルが高くなることもあります。問題がどこまで大きくなり,リスクがどこまで出てくるのかをよく考えた行動が必要になるように思われます。

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