法律のいろは

こんな理由で離婚が認められますか(その④)

2013年5月21日 更新 

配偶者にモラルハラスメントがある場合には,離婚の理由になるでしょうか?

 

 モラルハラスメントという言葉は,最近よく聞く言葉ですね。モラルハラスメントというと,よく言葉の暴力と言いますけど,無視するとか価値のない存在として扱う場合も含まれるようです。言葉による暴力も,正面切って罵倒するものから,何でもかんでも責任を転嫁するものや行動に一地口出しするまで色々あろうかと思われます。「誰が食べさせてやっているんだ」という言葉も,言葉による暴力に含まれるという考え方もあります。

 態度としては,無視するとか物を投げて脅かす,生活費を渡さない等の態様があります。

 夫婦の仲だけでなく,職場でも問題にされているところですね。夫婦関係においては,DV防止法の中でも,「身体に対する暴力に準じる心身に有害な影響を及ぼす言動」に含まれると扱われています。要するに,軽いものは別として,モラルハラスメントもDVに十分含まれうるということです。問題は,何が軽いものかということですが,大体において接近をされたら困るとか離婚を考える際には,問題にならないケースも十分あるでしょう。もちろん,DVの存在自体争われることもあります。

 

 こうしたモラルハラスメントが離婚の理由になるかを考える際に,まず日本では離婚の手続きがどうなっているかを振り返る必要があります。法律上,ご本人や弁護士など第3者を間に入れたにしても,離婚をすることに話が付けば問題はありません。家庭裁判所での離婚調停でも同様です。

 

 問題は,モラルハラスメントでは,自分はそんなことはしていないと言われることも十分ありうるということと思われます。もちろん,実際にモラルハラスメントとされている言動が,存在しないとか言われているほどではないものすごく軽いものということもあり得るでしょう。他方で,モラルハラスメントをしている方にその自覚がないということもありうるところです。

 

 離婚の話し合いが付かなければ,離婚裁判に至ります。そこでは,法律上の離婚理由があるかどうかが問題になります。ちなみに,離婚の話合いや離婚調停でも,話合いが付かない場合に離婚裁判となったらどうなるかの見通しは重要です。時間と負担がかかりますから。

 離婚裁判では,夫婦関係の修復が無理=破たんしていると言えるだけの事情が必要となります。そうした事情の一つとして,モラルハラスメントも考えます。ただし,普通は一つの言動ではなく,離婚をしようか悩み・決めるまでの経緯も含めて考えていくことになります。そうした一連の事情や離婚を望まない方に夫婦関係修復のための動きがみられたかなどを総合して,修復の見込みがないか・あるかの判断や見通しに至ります。

 

 モラルハラスメントには,離婚理由になるかとか・慰謝料・DVの問題以外にも,そもそもどうすればいいのか・話を聞いて欲しい等複雑な問題のあるところです。いずれ,モラルハラスメントについて,詳しく触れたいと思います。

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