法律のいろは

婚姻費用とは何でしょうか?(その⑮~婚姻費用(生活費)の支払が滞ったら?(4)~)

2013年8月10日 更新 

   前回、給与など資産への差押えによる方法(強制執行)についてお話ししました。今回もその続きです。

 婚姻費用(生活費)など定期的に支払われる債権については、一旦支払義務ある者が支払を怠れば、将来分についても差押による回収ができるようになったことをお話ししました。

 この、定期的に支払われる債権ですが、法律上婚姻費用・養育費などに限定されていて、たとえば離婚の際の慰謝料、財産分与について、いくら分割で定期的に払う旨定めていたとしてもあたらないので、注意が必要です。

 とくに、協議離婚で、公正証書に離婚の条件を記載した場合、定期的に支払う債権が、何なのか(婚姻費用・養育費)きちんと書く必要があります。「解決金」や「和解金」名目ですと、せっかく定めていてもこの一旦支払を怠ったあとの、将来分までの差押えをすることができなくなる可能性があります。

 また、この場合に差押できるものは、給料や賃料収入など、継続的に収入がある債権に限られます。それ以外の、預金や不動産はいくらあったとしても、一度差押えれば、その後は将来発生する婚姻費用(生活費)も定期的に取り立てできるという、この制度を使うことはできません。

 この制度で差押できる範囲ですが、普通税金・社会保険料などを引いたあとの1/4しか差押できませんが、婚姻費用(生活費)などの債権についての差押えの場合、給与から税金・社会保険料などを引いたあとの1/2までを差押えることができます。

 また、税金などを引いた給与額が66万円を超える場合は、33万円を超える金額の全部を差し押さえることができます。

 したがって、支払が滞っている婚姻費用(生活費)の取り立ては、支払義務ある者の税金などを引いたあとの給与の1/2か33万円を超える金額の全部についてできることになります。

 支払義務ある者が定期的にまとまった給与所得がある場合、あるいは家賃収入があるといったときなどには、利用しやすい制度となっているといえます。

 

  

 

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