前回,婚約を破棄する場合の問題点として,不当破棄と言えるかどうかが挙げられるという話をしました。その前提として
①婚約があったと言える
②不当に破棄された
と言える必要があります。
このうち,①については前回触れました。今回は②に関して触れてみたいと思います。婚約することにより,将来結婚するよう誠実に行動する義務を婚約した男女双方が負うことは,これまで何度か触れました。婚約によってこうした義務は負いますので,婚約を破棄することが「正当な理由」を持つ必要があります。
婚約を破棄する理由として,
ア 他の異性と性的関係をもったこと
イ 暴力や侮辱行為等いわゆるモラルハラスメント・DVの類
ウ 一方の多額の借金や浪費
エ 精神病
等離婚の場合と同じような場合がありえます。これは,内縁や事実婚でも問題となるところですが,婚約との関係等詳しい話は,内縁や事実婚を取り上げる際に話をしたいと思います。
もちろん,これ以外にも,「こんな性格の人だとは思わなかった」とか「結婚した後の生活や価値観に違いがあった」という,これまた離婚でも見かける理由も考えられます。その他,挙げていけばきりがないくらい考えられるところですね。
今挙げた項目の中で,アからエについては,はっきりと一方の側に責任があるところですから,責任のない方から婚約の解消を申し入れても,「正当な理由」ありとされる可能性は高くなります。これに対して,性格とか価値観では,二人に深刻な対立をもたらし,将来結婚することが第3者から見ても難しいと言えるほどでないと中々「正当な理由」ありとは考えにくいと思われます。
アからエと比べて,はっきりしません。単に婚約を求める側の主観によるものなので,結婚をする誠実な義務を負う中では,安易に主観にもとづく解消を認めにくいというところによります。
こうした点が,婚約の解消の際にはあること気を付けた方がいいでしょう。婚約は強制できませんが,不当に破棄した場合には損害賠償請求を負う可能性がある点は注意しておくべき点ですね。次回は補足とともに,内縁について触れてみたいと思います。
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