生前に援助を受けた相続人について,遺産分割の際に,受けた援助を考慮しなくてもいいという亡くなった人の意思表示が,簡単に言うと持ち戻し免除の意思表示であることは既に触れました。どう考慮するのかについては近いうちに触れます。
前回は,はっきりと持ち戻し免除の意思表示をしなくても,様々な事情を考慮して,持ち戻し免除の意思表示があったと考えられることがあるという話をしました。そのうえで,そうした様々な事情について簡単に触れました。あわせて,問題になる代表例についても簡単に話をしました。今回はその続きです。
前回代表例として触れた学費については,既に特別受益になるかどうかということで触れました。簡単に復習しますと,子どもに対する扶養の範囲内とは言えない生計の資の贈与と言えれば,特別受益にあたり,遺産分割の中で調整の必要が出てきます。つまり,生前に受けた援助として調整しないといけないものかという問題です。
兄弟間で教育費に大きな差が出た場合(たとえば,兄が私立中学や高校に行ったうえ大学まで行ったのに,妹は高校までしか通わせてもらえなかった場合)に問題となります。これは,親にかけてもらった学費が大きく違うのだから,生前に特別な援助を受けたものとして,調整すべきかということが問題となる点です。
この問題について,一般には親の子どもに対する不要なのだから,特別受益にはあたらないから,調整に必要がないと考えられています。とはいえ,差が大きい場合にはそれはおかしいという場合はもちろん出てきます。ただし,特別受益にあたっても持ち戻し免除の意非表示があったと言えれば,調整は不要となります。
こういったところから,持ち戻し免除の意思表示があったかどうかが問題となります。遺言等はっきりした形があれば問題は小さいです。はっきりした形がないのに,こうした意思表示があったと言えるかが大きなポイントとなります。
この点について,親は将来調整する必要なく援助したと考えるのが普通と一般的に言えると思われます。少なくとも遺産を先渡しする意味で学費を出すことは少ないものと考えられます。そのため,はっきりした形がなくても持ち戻し免除の意思表示があったということができる場合は多いと言えるでしょう。
もちろん,更に別の事情があれば話は変わってきます。
このように,はっきりした形がなくても持ち戻し免除の意思表示があったと言える場合はあります。次回に続きます。
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