法律のいろは

遺言の無効が問題になる場合とは?(その①)

2013年4月17日 更新 

 今日は結構暑いですね。もう初夏のような気がします。まだ4月なのに。。。

 今日ニュースで巨額の遺言が無効という判決がでたとの報道が流れていました。最近,遺言とかエンデイングノートの話が出ていますけど,遺言が無効ってどういうことでしょうか?

 遺言には大きくいって3種類(自筆・公正証書・秘密証書,厳密にはこれ以外にもあります)ある話はあちこちのサイトでも書かれています。法律上,遺言が有効であるための条件は決まっています。ですから,無効というのはそうした条件を満たさない場合をいいます。こうした条件が問題になることもかなりあります。。ニュースの件では,あまり問題になっていないようなので,遺言の種類とともに,またの機会に触れます。

 ただ,一番問題になるのは,遺言をするのに必要な能力(法律上遺言能力というもの)があるかどうかであるような気がします。認知症になる方が今後増えると言われている中では,かなり重要なのではないでしょうか?

 遺言能力とは,15歳以上で・遺言の意味や結果を認識,判断しうる能力のことです。分かりにくいですが,高齢や病気などで判断能力がかなり落ちていた場合には,こうした能力があるか問題になります。病気であれば,カルテ等の医療記録がそういった能力があったかどうかのポイントのなります。入院していない場合には,介護の記録や付き合いのあった方の証言もポイントになるかもしれません。もちろん,遺産の金額等の遺言の内容・遺言をする動機や経緯など色んな事情も関わってきます。改訂長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)の点数などだけでなく,医療記録での様子の記載や医師の判断内容や要介護度や判定資料の記載なども重要になってきます。

 ちなみに,遺言が無効かどうか問題になった場合には,有効であるという方に有効であることを証明する責任があります。無効であると主張する側が,先ほどの資料を精査したうえで無効の可能性を示してくることにはなりますが,判断能力が十分である(自筆証書遺言では偽造なのかどうか・形式を備えているのか・公正証書遺言では判断能力の話と重なる部分がありますけれども,「口授」というものがなされているのか等といった点が問題になりえます)など有効であることを示していくことになるでしょう。

 遺言が有効かどうか争われる場合には,ある特定の人に遺産を渡すという内容になっていることが多いように思われます。争っている間にお金が無くなってしまったということがないようにする方法を考えることも必要な気はします(実は結構難しい問題です)。

 ニュースの裁判では,報道を見る限り,遺言能力があったかどうかが問題となったようです。2025年までに認知症患者が激増すると言われている中では,こうした問題が増えるかもしれませんね。

 遺言が無効になる場合等の話は,また続きを書いていく予定です。

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