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乳幼児の親権の問題での考慮要素(母親あることの意味)

2015年8月3日 更新 

 乳幼児が何歳までを指すのかという問題はありますが,子供が乳幼児であれば母親による養育監護が当然に望ましいのではないかという話が存在するところです。実際に,古い裁判例の中には,乳幼児の子供の場合には,母親の愛情などが父親のそれよりも不可欠であることを理由に,他の事情を考えることもなく母親に親権者を指定していた例がそれなりにありました。

 比較的最近の裁判例でもそうしたことを述べる裁判例はあるものの,他の事情を考慮することなく当然に母親優先するという考え方には批判が多くなり,裁判例の中にも他の事情や母親的なかかわりをしているのが誰かという点を考慮しているものもあるところです。今回は,そうした裁判例をひとつ紹介します。

 問題となったケースでは,夫側の暴力が存在し,妻側が家を出た際に,夫が子供を自分の親の住居地に連れて行き,その後夫とその親が養育監護を手分けしていたものです。別に離婚に関する紛争もある一方で,妻側から子供の監護者を自分に指定することと子供の引き渡しを求めたものです。

 結論として第1審・第2審とも妻側の請求を認めませんでした。第2審では,夫側が特に請求していないものの,夫側を監護者に指定しています。第1審は,子供が現在順調に養育監護していることを重視しています。第2審では色々な事情を検討しており,双方とも監護者の適性は満たすものの,夫側の養育監護環境の方が安定していると評価しています。そのうえで,母性的な監護へのかかわりについて触れていますが,これは第2審で妻側から幼少期における母親の存在は不可欠であるとの主張を踏まえたものと考えられます。この主張に対して,夫側の母親が「母性的な」監護をしていると述べて,妻側の主張が判断を覆さないと述べています。
 ここでは,あくまでも判断を崩さないという点を述べており,あくまでも現在の養育監護環境(この判断では人的な環境,監護補助者が充実していて安定している現在の環境を崩すことに消極的であると考えられます)等の事情が重視されていて,大きな要素ではありません。そのため,「母性的な」監護というのがどこまでの意味を持つのか不明確な点もあると思われますが,そうした役割を果たす監護補助者の存在も人的な養育監護環境と捉えることもできると考えられます。そうなると,こうした役割を果たす方がいるかどうかは大きな要素となりうるところかもしれません。

 

 難しい問題です。

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