法律のいろは

DVと保護命令の手続きの流れ(その②)

2015年8月21日 更新 

 前回はDVがあったことを理由に地方裁判所に保護命令の申立がなされた場合の手続きの基本的な流れなどについて,申立をした側・申し立てをされた側それぞれについて触れました。今回は,申立をされた相手側に関して補充をしたいと思います。

 保護命令の裁判について裁判所で審理されること(言い分を聞かれる場合に聞かれること)は,保護命令の法律上の出す要件とされるものです。簡単に言えば,暴力等があったかどうか・暴力等により生命や身体に重大な危険が及ぶ恐れがあるかどうか,といった点です。これは前回も触れたところです。そのため,反論や言い分を出すポイントもこの点になります。もちろん,暴力は広いものでその程度やそれに至った経緯は色々と存在することろです。ですから,仮に暴力があったとしても,そのことについて色々と言い分は出てくるところです。

 こうした言い分の中には,生命や身体について重大な危険が及ぶおそれがあるかどうかに関わるものもあれば,関わらない場合もあります。仮に暴力があった場合には,反論のポイントなりうるのは,こうした「おそれ」が存在するかどうかです。暴力が存在した場合の言い分(夫婦双方に激しい対立がある等)によっては,こうした「おそれ」が存在することを理由づけてしまう可能性もあります。

 そのため,離婚裁判等で慰謝料請求がなされている場合と少し異なりうる点として,反論のポイントが異なるために「おそれ」を基礎づけてしまうような反論をするかどうかは注意をした方がいい場合もありうるところが挙げられるでしょう。こうした点を言い分として述べるかどうかは,個人的な感情だけでなく弁護士等専門家に相談のうえでどうするかを考えた方がいいように考えられます。また,理由があるにしても,暴力が存在したのであれば,正当化は基本的にはできない点にも注意が必要と思われます。仮に暴力が存在したのであれば,それが軽いものであったなど先ほど述べた「おそれ」が存在しないという方向での反論が,保護命令との関係では意味を持つことには注意が必要でしょう。ただし,主張はあくまでも言い分で証拠が存在しないと,裁判所の判断では採用されないリスクがある点には留意すべきです。

 次回は,仮に保護命令が出された場合の争う方法等について述べたいと思います。

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