法律のいろは

勝手に給料を減額されたのですが,問題はないのでしょうか(その①)?

2015年9月26日 更新 

 ある会社などで働き始める際に,給料がいくらで・いつ支払われるのかは通常期になるはずです。ハローワークでの求人の場合通常そうした事柄についての記載はあるはずです。ところが,働き始めの際に雇用契約書を会社との間で取り交わしたり,実際どんな条件で働き始めるのか書類を示されることは少ないのではないかもしれません。

 ただ,法律上は,働き始める際に,給料だけではなく働く際の様々な条件を書類で示すよう会社には要求されています。もちろん,こうしたことがなくても直ちに勤務に関する契約は無効にはなりません。求人票通りの内容で働く契約をしたという言い分を働く側としてはすることが通常と思われます。何もなくて,その内容と異なる内容で働こうとする側と会社側で約束するとはあまり考えられない点には注意が必要です。

 では,一度決まった給料の額を会社側が一方的に減らすことができるのでしょうか?こうした給料を減らすことは,一般的な勤務条件を変える場合と会社の秩序を乱す行為を働く側がしたことを理由とする懲戒処分によるものが考えられるところです。何もないのにある日突然給料が下がっていたのであれば,前者にあたる可能性が高いです。

 まず,こうしたことを会社側が勝手にできるかというとできないというのが結論になります。一度決まった給料の金額は雇用契約の内容になりますから,その従業員の方の同意なく勝手に変更をすることはできません。これが原則ですが,例外的にこうした同意がなくても変更できる場合が法律上あります。

 その一つには,その会社に労働組合がある場合には,労働協約というものを使えば下がる可能性があります。ただし,労働組合がある会社は最近では割と少ないのではないかと思われます。むしろ,多く考えられるのは,就業規則の内容を変える場合です。問題になるケースは,就業規則がない勤務先や就業規則を変えることなく給料を下げるという事柄が多いのではないかと思われますが,こうした場合は今述べた例外にあたりません。そのため,こうしたやり方は法律上否定される可能性が高いと考えられます。

 それでは,就業規則を使ったどのような給料引き下げの可能性があるのかは,懲戒処分の話(ある程度は以前触れました)とともに次回に触れたいと思います。

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