法律のいろは

幼い子供の親権者は「常に」母親になるのでしょうか?

2015年11月15日 更新 

 よく,幼い年齢の子供の親権者は母親(妻)になるのだから,男性はあきらめないといけないのかという話をあちこちで言われているように思われます。インターネット上でもこうした話はそれなりに書かれているのではないでしょうか?当事務所のコラムでは既に何度も触れましたが,統計上女性が親権者になる割合は多いですが,「常に」母親になるわけではありません。

 あくまでも,子供の成長にとって好ましい状況を備えたのはどちらであるのか,もっと言えば,これまでの子供を主に世話してきたのは誰で,両親のうちどちらの親と結びつきが強いのか・現状の養育監護状況はどういったもので,問題があるのだろうかという点が相当大きな割合で重視されるように思われます。

 その是非は置いておきますが,こうした点を満たすのが女性が多いという点で,統計上,母親が特に小さな子供の親権者になるケースが多いというのが現実ではないかと思われます。よく,子供を連れて家を出るという話があります。この事柄が誘拐罪にあたるというのは,態様にもよる点がありますが,あたることは非常に少ないという考えが多いのではないでしょうか?この点は,特にアメリカとは相当異なった点ではあります。

 養育環境のうち,経済的な面に関しては,以前も触れましたように,そこまで重視されない傾向にあると考えられます。もちろん,子供が大きく困窮するような状況であれば話は変わります。

 別居後の状況では,夫婦間の対立や不信が大きく,養育監護をしていない方の親と子供との面会交流を図っていくこと自体に,大きな壁が存在するケースもあるように思われます。こういった場合に,どのように面会交流を実現させていくのか,言い換えれば,双方の不信を子供に対する親としての関わりを持てるよう調整していくのが,面会交流のための交渉や調停の場と考えた方がいいように思われます。

 もちろん,子供に対する暴力その他の事情から,すぐに面会を図ることへの負担が大きい場合もありうるところです。ただ,親権者が性別によって自動的に決まるものではなく,これまで続いてきた養育監護の状況から見て子供にとってどちらがいいのかという点と子供と親との結びつきをどう図っていくのかをケースごとに考えていくことが重要なように思われます。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。