法律のいろは

法律上,独立して事業をしている・従業員との分かれ目は何でしょうか(その②)?

2015年11月24日 更新 

 つい最近,「銀座のママ」が労働者といえるかどうかが争われたという裁判について報道されていました。事実関係がどうなのかは不明な点がありますが,労働者といえる場合には未払いの賃金を請求できたのかどうかが問題になっていたようです。割と昔の話でしたが,団体交渉についてプロ野球選手が労働者といえるのかが問題となっていました。

 ここでいう「労働者」といっても,団体交渉を認めるのか・労働者について法律上与えられている保護を認めるだけの実態があるかどうかという別の点に関するものです。そのため,団体交渉を認められても,労働者について法律上与えられている保護を認めるだけの実態はないという場合もありうるところです。

 話を戻して,独立して事業をしている方に委託をした(仕事を任せた)といえるかどうかが,先ほどの最近報道されていた件に関わる事情です。前回は,指揮命令に従っているか・もらうお金がその対価かという話を触れました。

 現実のところとしては,源泉徴収がされていたり,労働保険に加入していたりという事情は,従業員であることの根拠の一つとなります。また,時間に応じた給与の計算であったり,欠勤した場合には減額されることも従業員であることの根拠の一つとなりえます。結果に対する報酬であれば,こうしたことは考えがたいためです。ちなみに,もらっているお金が他の従業員の方とあまり変わらない場合には,自分の責任で事業を営んでいるとは考えにくいと捉えられうる要素です。

 このほか採用に至る過程や服務規律を受けている場合や他の会社の仕事をする可能性がほとんどないことも従業員であることの根拠の一つとなりえます。その他分かりやすい話として屋号の使用や仕事で損害を発生させた場合の負担の仕方も影響は及ぼします。

 こうした多くの要素を総合的にみて,先ほど触れた指揮命令を受けているとか,それにしたがって仕事をしたことへの報酬といえるかどうかを判断していきます。ですから,一つの要素で直ちに肯定・否定へと直結はしませんが,問題となっているケースごとにポイントとなる点は存在します。

 次回に続きます。

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