法律のいろは

物損事故にあったときに慰謝料は請求できるの?

2013年4月13日 更新 

 交通事故に遭った際,たとえば,「車に追突されてケガはなかったけど,大事な自分の車が壊れた」

 こんなときに修理代は当然として慰謝料も請求したいと思う方はおられるかもしれませんね。ローンを組んだ大事な車であればなおさらですよね。もちろん,話し合いの中で慰謝料を払うと相手が納得してくれれば,慰謝料をとることができるでしょう。

 相手が嫌だと言った時に慰謝料がとれるのか,これが問題です。

 一般には,物が壊された(さっきの例では,車のキズ)は修理によって直るのだから,精神的な苦痛=慰謝料は残らない⇒慰謝料はk本的に認められないと考えられています。でも,完全には直っていない場合はどうなのかというところが気になるところです。

 この場合には,評価損と言って,さっきの例では車に傷がおよびそのことで車の価値が下がったということで賠償請求できます。もちろん,どんな場合でも評価損があるわけではなく,客観的にみて直っていないことで車の価値が下がったことが必要です。直った場合でも事故に遭うことで車の価値が下がったといえれば,評価損は認められる場合があります。

 では,慰謝料はどうでしょうか?これは,

 ①物損によって,被害にあった人のその物(さっきの例では車)に対する特別な愛情が害された

 ②物損によって,被害にあった人の精神的な平穏が侵害された

場合が例外的に慰謝料が発生するとされています。

 もちろん,自分が車に愛情を強く持っているという感情があるからというだけで①や②に当てはまるわけではありません。一般的に見て,特別な愛情を持っていて害された・精神的な平穏が害されたということが必要になります。

 結局,かなりの事情が必要ということになります。ちなみに,裁判例で②を認めたものとして,車が店舗兼家に突っ込んだ件で人命にかかわりかねないから,という理由で認めたものがあります。メルセデスベンツが壊れた件でも①を認めなかったケースもあります。

 とはいえ,加害者の対応があまりにもマズイケース(たとえば,車を当て逃げしてそのまま逃げたケース)には慰謝料が発生することもあります。

 結局ケースバイケースですが,物を壊されてもそう簡単には慰謝料の請求は認められない(相手が支払いを拒否した場合)ことは気に留めておく必要があります。

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