法律のいろは

任意後見て何(将来の備え(?)その①)

2013年4月14日 更新 

 急速に高齢化が進みつつある中、「後見」という言葉を見かけることが多くなった気がします。

「後見」というと、よく聞くのは「成年後見」という言葉ではないでしょうか?認知症など、物事を判断する能力のかなり低下したときなどに利用されるものですね。これは家庭裁判所に成年後見人を選ぶよう、申立をすることが必要です。

 この場合、認知症等になった本人には誰が後見人になるか分かりません。親族のことが多いと思いますが、もしかしたらご本人が元気なら選ばない人になるかもしれません。また、親族間で対立がある場合、第三者が後見人になることもあります。現在成年後見制度は裁判所が監督に直接入ることなどもあって利用がそこまでは進んでいないといわれています。

 将来自分が認知症など判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ自分の財産を管理したり、身の回りの面倒を見てくれる人を決めておきたい。そういう場合に利用するのが、「任意後見」です。

任意後見のメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

①自分で任意後見契約の内容を自由に決め、判断能力低下後も自分のライフスタイルを維持できる

②任意後見契約を結んでおけば、頼まれる人も財産管理などがやりやすい

任意後見人であれば、任意後見登記で証明ができるので、銀行などでの手続きもスムーズにできます。また、他の親族からあとで財産の管理について権限なく、勝手に行っていたなどと言われ、紛争になるのを防ぐこともできます。

③チェック体制がしっかりしている

 任意後見は、任意後見人がきちんと仕事をしているか、監督をする任意後見監督人が家庭裁判所から選ばれて、初めて開始されます。そのため、任意後見監督人と家庭裁判所からのチェック体制が整っているといえます。

 こんな、任意後見ですが、実際のところはあまり利用されていないのが実情のようです。平成22年でいくと、成年後見が全国で25000件弱利用されたのに対して、任意後見監督人が選任されたのは、わずか600件ほどです。もっとも、少しずつ増加する傾向はあるようです。

 あまり利用されない理由の一つとしては、手続きがやや複雑だからのようです。

 任意後見の手続きについては、また機会を改めてお話ししたいと思います。認知症自体今後増えるだろうということで,オレンジリンク運動など色々な試みがなされている分野です。病気にかからないよう・うまく付き合うとともに,備えも必要かもしれませんね。

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