法律のいろは

人身事故を起こした車の名義人は責任を負うの?

2013年4月16日 更新 

 交通事故で被害としては,車などの損害である物損とケガなど人損が主なものです。

 車のローンを組めない等の理由から名義を貸してほしいと言われて名義を貸すこともあるかもしれません。その車で人をはねたような場合に,名義を貸した人は事故について,損害賠償をする責任を負うのでしょうか?

 人身事故の責任については自動車損害賠償保障法(自賠法)という法律で,責任を負う場合が定められています。それによると,

①車の使用を支配していた②車の使用で利益をえていた場合,に責任を負うことになります(裁判例も踏まえてです)。

 となると,名義を貸していただけなら,全く責任を負わないかというとそんなことはありません。

 たとえば,名義を貸すことで,使用料などお金やその他利益と言えるものをもらっている場合には,②にあてはまるので,責任を負うことになります。名義を貸すだけでなく,自分の業務を運転者にさせていた場合にも,①に当てはまる可能性があります。もちろん,他の事情も考慮しての話ですが,車にかかる費用も名義人が負担していた場合には,①に該当する可能性が大きくなると思われます。

 そうなると,車庫証明を取るため・先ほどのように単にローンを通るために名義を貸しただけであれば,①にも②にもあてはまりにくくなります。ですから,責任を負わないで済む可能性は大きくなります。

 注意が必要なのは,名義を貸したという場合ではなく,友人に車を貸して,友人が人身事故を起こした場合です。この場合,友人が車を使うことについて決めることができ,その決めたことに従って車が使われていたため,①が肯定される可能性が高いです。

 とはいえ,その友人が全く知らない第3者にまた貸しをした場合には,少し話が変わってきます。第3者にまた貸ししてもよいと言っていた場合には,裁判例上①に該当する可能性があります。また貸し相手と面識がなくても認めた裁判例があります。そうではなく,また貸ししないでほしいと言っていた場合には,①が肯定されにくくなるので,責任を負わない可能性は高いと考えられます。

 ちなみに,貸した友人がいつまで経っても返さない(返せと言っても返さない)ような場合には,①が肯定されにくくなるので,責任を負わないですむ可能性があります。

 そういったこともあるので,安易に人に車を貸さないことが重要な気が個人的にはします。

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