法律のいろは

離婚と財産分与(その④)

2013年4月18日 更新 

 財産分与というと,メインの問題はプラスの財産をどう清算するかです。

 マイナスの問題が大きいという話は前しましたが,メインとしてはプラスの財産です。一体を何を清算することになるのでしょうか?清算されるのは,結婚してから夫婦二人で築き上げた財産ということになります。ならば,結婚前からの貯金として口座を持っている場合には,全部自分が築いたことになるかというとそうはなりません。

 この場合,結婚してからの貯金分は結婚してからの夫婦の協力により貯められたものという扱いになります。ですから,増えた金額が財産分与の対象となります。ということは,減るか・変わらないであれば,その財産については財産分与すべきものはないことになります。とはいっても,金額で考えるので,トータルでマイナス部分・プラス部分がどう生じているかを考える傾向にはあるように感じます。

 いわゆる財形貯蓄とか勤務先の会社の従業員持ち株(務めている会社の株式を買うように会社から報奨金が出て,そのお金などを用いて務めている会社の株を買う制度が多い気はします)についても同じことが言えます。つまり,結婚後の貯金部分や買った株式が財産分与の対象になるということですね。株式や投資信託も同じことが言えます。

 結婚前から加入している生命保険などの保険にも同じですね。そうはいっても,満期になっていないなら保険金はもらえないのだから,財産分与すべきものはないのでは?という考えもありそうです。保険の場合は,今解約したらいくらお金が戻ってくるかという解約返戻金が財産と考えられています。ですから,結婚後に増えた解約返戻金が財産分与の対象になります。もちろん,満期を迎えた保険金も残っている部分は財産分与の対象となります。

 実は,問題となるのはいわゆる退職金ではないかと思われます。というのも,退職していなければもらえるかどうかわからないうえ,いくらなのかという問題が出てくるからです。この問題はまた別の機会に触れますが,退職金があるような会社に勤めている場合には大きな問題になります。

 ちなみに,いつの時点までに築いた財産が対象になるかですが,一般には夫婦で協力していた期間となります。離婚時か別居した時かが問題になりますね。通常は,別居してから離婚というケースが多いと思いますので,こうした場合は別居時までに築いたものとなります。

 ついてにいうと,株とか価格の変動があるものはいつの時点の価格かという点も問題になりますね。時価ということで離婚時かそれに近い時点で考えうるように思われます。

 財産分与のメインとなるプラスの部分の清算も退職金をはじめ,問題はまだあります。またの機会に触れたいと思います。

 最近暑いですね。

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