法律のいろは

兄弟姉妹が親の家に無償で居住している場合に,遺産分割で特別受益として考慮をされるのでしょうか?

2021年1月9日 更新 

 兄弟姉妹が親と同居していた,あるいは親の所有する家に無償で住まわせてもらっているケースでは,相続の際に退去や家の確保・これまで一緒にすんっでいたことや逆に世話をしていたことの考慮が遺産分割まで・分割の際に問題となります。このうち,退去については,遺産分割まで無償で住まわせる合意があったといえる可能性もありますし,相続持分で家を共有しているところから退去を求めるのは難しくなります。世話をしていたことは,同居をすることで便宜を与えられていたあるいは扶養義務の範囲内であるということで,「寄与分」という特別な貢献による遺産分割の際における調整もハードルは相当高くなるように思われます。

 

 それとは別に,同居あるいは親の持ち家に住んでいない他の兄弟から,無償で住まわせてもらったことを便宜を与えてもらったからということで,遺産分割の場における調整要素として主張することは可能でしょうか?結論から言えば,難しいように思われます。ここでの調整要素は,「特別受益」に無償で住まわせてもらったことが当たるのではないかという話になります。無償で借りていたことの権利あるいは家賃相当分が該当すると調整を求める側は言うことにはなるかと思われます。

 たしかに,「特別受益」は生計の資の贈与になるので,生活の住の部分である家に住むということは当てはまりそうに見えます。しかし,同居してその親の面倒を見ているケースでは,ここが対価に当てはまるため一方的に便宜を受けているとは言いにくいという点があります。また,諸事情から稼働が困難である(主には体調など)場合には扶養義務の範囲になる可能性もあるので,そこを超えた便宜ということにはなりにくくなります。

 

 それでは,特に面倒も見えていない・稼働困難という事情もないのに,親の持ち家に住んでいる場合はどうかという話が問題になります。同居の場合には世話をするという話(あるいは将来世話をする)という話があるので,主には別居して持ち家で済んでいる場合が問題になるのかなと思われます。将来の世話をすることが前提となっている場合には,そのことを根拠として「特別受益」に仮に当てはまっても,調整を不要とする意思が親(被相続人)から示されていたということが可能です。将来の世話が前提となっていたのかどうかという点で争いが生じる可能性はありますが,持ち家に住むにはそれなりの理由がありますし,特に同居の場合にはこの前提はかなり言いやすくなります。他の方に賃貸をするのが難しい場合には管理や保守をしてもらうことを念頭に家賃は取っていなくても貸すメリットはありますし(その意味では保守管理を任せるという意味で便宜は存在しないから,「特別受益」とは言いにくくなります),調整不要という話につながりやすい面があります。そのため,そう簡単に親の持ち家に無償で住んでいるから,「特別受益」であるとは言いにくいように思われます。

 同居の場合には「寄与分」とは言いにくい反面で「特別受益」とも言いにくい面があります。結局は,無償で住む経緯や理由・親側の意向やその記録などによってきますが,無償で住まわせてもらう→特別受益という話には簡単には言えないように思われます。というよりも,ハードルは相当あるといえるでしょう。

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