法律のいろは

症状固定って何ですか?

2013年5月3日 更新 

 交通事故などにあってケガをした場合,まずしようと思うことはケガの治療という方が多いのではないでしょうか?

 その際に,自分ではなく相手の責任だから賠償してほしいと思うことも多いのではないかと思われます。もちろん,ケガが治れば問題はありません。問題となるのは,たとえばムチウチ等のケガで痛みが残る場合です。

 この場合に問題となるのが「症状固定」という言葉です。症状固定とは,簡単にいえば,これ以上治療を続けても大きな回復が見込めない(他方で大きな悪化も起らない)状態のことです。大きな改善や悪化がないというだけですので,投薬やリハビリによって少し改善したけど,別の日には悪くなった状態は含まれます。

 「症状固定」があるかないかで何が違うのでしょうか?簡単かつ大雑把に言えば,症状固定前はケガの治療をする機関・症状固定後は治療が終わり後遺症があればそれと付き合っていく期間です。ですから,原則として症状固定をした後に治療を受けたとしても,その費用(治療費)は損害賠償では「治療費」扱いされないことになります。

 そのため,「症状固定」かどうかは相当重要なことになります。よく保険会社は6か月たったから「もうそろそろ治療を打ち切って症状固定にしてください」と言う傾向にあると個人的には思いますけど,「症状固定」かどうかを決めるのは保険会社ではありません。当然のことですが,これまで診察してきた医者の方と被害にあった方が経過などを見ながら決めていくことです。

 だからといって,ケガの程度と関係なく痛みが残るからと言っていつまでも「症状固定」にならないわけではなく,医者の方の医学的な所見も相当に影響します。逆に,早めに「症状固定」にしないといけないわけではありません。

 ここで問題になるのは,今の話からも分かる通り,「症状固定」になっても痛みが残るケース自体はありうるところです。どう対応するかというところですが,「後遺症の認定申請」をすることになります。後遺症とは,簡単に言えばケガについて治療をしたけれども残った症状を後遺症として扱って,対応するというものです。全ての痛みが後遺症になるわけではなく,法令で定められた症状が出ていれば,その症状に応じた等級認定がされるという仕組みです。等級は1級から14級まであります。14級が一番軽いです。

 一番の問題は,特にムチウチについて14級すら認定されないことがあるというところです。簡単にいえば,痛みがあるからと言って後遺症と認定されないことがあるということですね。

 等級認定の詳しい点は別の機会に触れますけど,資料に基づき書類から判断されるので,どんな資料をそろえるかは極めて重要になっていきます。特に,ムチウチなど目に見えないけど痛みがある場合には大きな問題になってくるように思えます。

 「症状固定」が終わると,後遺症が残れば,後遺症に応じた慰謝料や失われた労働能力に応じた失われた収入等の賠償へと問題は移っていきます。そういったことからも,「症状固定」は交通事故等での適正な賠償を受ける点に関して,重要な話になっていきます。

 後遺症の認定など重要な話はいずれ触れていきたいと思います。

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