法律のいろは

希望退職の募集と退職勧奨

2013年5月4日 更新 

 希望退職の募集というと,ニュースなどで退職者を募ったところ応募が多かったということで話題になっていますね。従業員に退職の申し込みを会社が求めて,申し込みがあると応じるというものです。多くは,会社の業績がよくないときなどに行われていますけど,あくまで合意で退職するものですから,解雇に関係する規制は及びません。

 これに対して,退職勧奨とは何でしょうか?はた目には,両方とも従業員に辞めるよう求めているのだから一緒ではないかという考えも出てくるところですね。

 結論から言えば,希望退職の募集と退職勧奨は違うものです。希望退職の募集は単に退職者を広く募るだけです。つまり,待ちの姿勢です。これに対して,退職勧奨とは,会社から特定の従業員に退職するよう要求していくものですから,攻めの姿勢ですね。

 こういった働きかけの要素が退職勧奨にはあるので,そのやり方次第ではトラブルが生じかねませんし,会社側に損害賠償責任が発生することもありえるものです。ちなみに,あくまで会社から一方的に退職させる行為ではない点で解雇とは違います。従業員側は拒むことができるということです。とはいえ,やり方によっては,紙一重ということがでてくるかもしれないものです。

 退職勧奨については色々と裁判例があるところです。もちろん,基本は会社側として,従業員に退職を促すことが自由にできます。問題はやり方です。

 退職するよう長時間にわたる面談を繰り返すとか・侮辱行為や暴行をするといったことが違法なやり方と評価されるのはやむを得ないところでしょう。そこまでいかなくても,短い期間に何度も執拗に退職を迫った場合にも違法と判断される傾向にあります。

 退職勧奨が問題にされる例の多くは,会社側から無理矢理に近い形で退職を申し出るよう求められたというケースが多いと思われます。ですから,退職勧奨をするには,従業員側の意見を自由に言う機会を与える・従業員との面接は長時間には及ばず,相手への礼儀を意識したものとするのが安全策となるでしょう。威圧するような雰囲気や窓もない部屋で長時間面談するのは避けた方がいいように思えます

 従業員の備品検査をするとか・家に押しかけるような行為は避けるべきです。

 こうした勧奨でも問題が解決しない場合には,配置転換や解雇に至るケースがあるかもしれません。ただし,解雇の際には解雇に関する規制が及んでくる点に注意が必要です。逆に,退職するよう求められた従業員の方は,会社側の態度や提示された条件をよく考えて行動する必要があるでしょう。

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