法律のいろは

離婚と財産分与(その⑦)

2013年5月5日 更新 

 財産分与について,退職金の話にを前回触れました。

 一時金か年金方式かは会社によって違いますし,そもそも退職金なんてないという会社も相当あるところですね。個人事業主の方もないのが基本ですが,小規模企業共済等に加入しているという事情があれば話は変わってきます。

 前回の話は,主に定年退職まで10年以上は時間がある場合(財産分与の対象となることを前提)を念頭に置いていました。

 退職まで時間があって今は退職予定はない・けれども,計算すると支払う額が結構ある,こうした場合をどうするかというのが問題です。

 この場合には,少しずつお金を分割払いで支払うという方法がまず考えられます。いわばローンと同じような考え方ですが,出費面で余裕がないときには使いづらい方法です。そうはいっても,早めに離婚する元夫もしくは妻とは関係を早め終わらせることができるという点はあります。

 他の方法としては,退職金が支給されるとき≒退職時に計算した金額を支払うという内容で話をつけるという方法も考えられます。退職金は定年まで勤務しない,定年の前に退職した場合にも支払われるものですから,こうしておけば無理な現金の支払いをしないですむことはできます。ちなみに,定年がだいぶ後の場合には,だいぶ後になって離婚した元夫もしくは妻と連絡を取る必要は残ります。

 退職金が支払われるときに支払うという場合には,結婚による寄与のある時期である別居(あるいは離婚)までの時期の退職金を財産分与することになります。そのため,金額を計算して特定する必要があります。話し合い決着の場合には,定年退職の場合しか支払いがないということを防ぐように注意が必要です。

 ちなみに,退職金の支給には,退職してから手続きなどで時間がかかりますので,その点を考慮して支払時期を決めておく必要があります。

 今までの話は,退職金が一時金の場合を念頭に置きました。いわゆる年金方式・企業年金についても,同じような考え方が当てはまります。ただし,年金支給時に支払う場合には,どのように支払っていくのかをよく考える必要があります。ある時期の年金を全部支払いに充てると,生活費がなくなるおそれがあります。ですから,その点を考慮に入れて分割にするか否かを含めて,支払い方法を考える必要があります。

 ちなみに,年金方式・企業年金の場合には一時金との併用もありますので,どんな内容の制度になっているのか資料を取り寄せる必要があります。資料の提出に相手が応じない可能性があるのは,退職金に限りません。その場合には裁判所での手続き(調停や審判,訴訟)等を用いた方法を検討する必要があります。こうした制度については,いずれ触れたいと思います。

 結構な分量になりましたので,熟年離婚の場合の退職金の扱いやその他の資産についての話は,次の機会で触れます。 

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