法律のいろは

後遺症について

2013年5月5日 更新 

 後遺症というと,悪いイメージを持っている方が大半ではないでしょうか?

 交通事故などに遭った際には重要な意味を持ってくる言葉です。法律上は,ケガが治った際に体に残る障害を後遺症というとされています。ケガが治ったなら,障害などあるはずがないというイメージを持つのが普通のところです。

 ここでいう,後遺症は,ケガを治療したけれども大きな悪化も改善も見込めない状態で体に残った症状をいうというのがイメージをかみやすいところですね。簡単に言えば,治療をしても大きくはよくならない状態で体に残った障害といったところです。

 前回,「症状固定」の話をしましたけれども,「症状固定」をしても体(精神面も一部含むことはあります)に残る障害のことですね。

 問題は,体に残った障害全てが後遺症と認定されないことです。交通事故を例にとれば,交通事故によって生じたケガから通常生じる体や精神面の損傷で,医学的にその存在を認められ,労働能力の喪失を伴うもの⇒後遺症と考えられています。

 ですから,交通事故等から生じたものでなければ後遺症とはなりませんし,交通事故などから生じたケガから普通生じる症状でないといけないということです。一番面倒なのが,医学的にその存在を認められという点です。

 簡単に言えば,単に痛いと訴える自覚症状だけでは認められない可能性があるという点が問題です。MRI等で損傷が認められるか,損傷について医学的に説明できるかという点がかなり考慮されるということが問題の源と言えます。そのため,ムチウチ等の目に見えない障害・損傷については後遺症とは言えないという判断が出てくる恐れがあるのです。

 書面で後遺症か否かが判断されますので,この問題は大きい点となります。

 このほか,労働能力の喪失をもたらすほどの障害・損傷と言えるかも問題となります。これは,後遺症等級として法令↑定められている1級から14級(1級が一番重く14級が一番軽い)の各パターンに当てはまるかという事柄です。

 こうした後遺症の等級認定は,もともとは自賠責保険の保険金請求場面で問題になるものですが,損害賠償を求める際の後遺症の程度を考えるところにも利用されています。

 こうした後遺症の認定は,

 ①加害者が被害者に損が賠償金を支払った後に,損害保険料率機構に保険金請求する場合

 ②被害者から自賠責保険会社に損害賠償金の請求をした場合

 ③任意保険会社が自賠責保険金部分も含めて被害者に支払う前に,照会する場合

 に行われます。③は事前認定手続きと呼ばれています。交通事故で加害者の加入する任意保険会社と交渉する場合には,③の方法で後遺症認定手続きを行う例も多いのではないかという印象があります。

 書類を提出するのですが,カルテや検査記録(MRI等)・診断書・医師の意見書などが大きな意味を持つことになります。

 認定された結果については,異議を申し立てることができます。ただし,自賠責の保険金の時効(事故から平成22年4月1日以降発生の事故は3年,それ以前は2年)には注意する必要があります。

 後遺症の詳細はケースバイケースですが,異議申し立てを行うのであれば,新しい資料を集める必要性があると思われます。

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