法律のいろは

離婚と親権(その④)子どもの引渡し前半

2013年5月6日 更新 

 離婚に関係した子ども(未成年)との問題で,子の奪い合いをすると問題があるという話を前回しました。

 親権とは深く関係するところです。前回取り上げた刑事事件の裁判例では,別居中の子どもをめぐる問題は裁判所での解決に原則ゆだねるべきと考えているのではないかという話をしました。

 もちろん,夫婦二人の間できっちりと話し合いができているのであれば,問題は大きくはなりません。弁護士が間に入ってすぐに解決ということであっても,そんなには大きな問題にならないでしょう。

 すぐに解決しない場合に,子どもの引渡しを求める審判や調停等の申し立てに至るケースが多いのではないかと思われます。家庭裁判所での進行の流れについては前々回に触れました。今回は,家庭裁判所で判断(審判)に至る場合には,何が重視されるのかについて触れたいと思います。

 ちなみに,子どもの引渡しを求める場合に,緊急・急ぐ事情があれば,審判前の保全処分という手続きを申し立てることがあります。また,子どもの監護養育をするのは自分がふさわしいということで,監護者の指定の審判・調停の申し立てをするケースもあります。

 子どもの引渡しについて,裁判所が判断する場合に,監護者の指定と判断が重複するところがあります。結局,子どもの監護養育をするのは,夫婦(父母)のうちどちらが好ましいかについて,触れざるを得ない側面があるからです。

 裁判例をみると,重視していると思われる点は次の点です。

 ①監護の継続性 現在の養育監護状態やこれまでの監護養育実績のことです

 ②子どもを手元に置いたやり方に違法な点はなかったか

 ③監護能力

 ④子どもの意思

 ⑤母性の優先

 このうち,一番重視されていると考えられるのが,①ではないかと思われます。これまでの養育監護実績に大きな問題がなく,現在も大きな問題がないのであれば,それで十分ではないかという考えが働いているものといえます。

 とはいえ,子どもを手元に置いたやり方に,違法な方法があれば,いかに監護養育実績や現状に問題がないとしても重視すべきではないとした裁判例もあるところです。ですから,一番重視されるとはいっても,これだけで直ちに判断が決まるわけではないという点には注意する必要があります。

 ②は,前回の刑事裁判例にもでてきたような,連れ去りの場合です。勝手に子どもを連れて別居した場合はどうなのかという疑問をお持ちの方もおられるでしょう。ここで問題となるのは,子どもと同居している親に暴力をふるって連れ去ったとか・子どもと面会する際に連れて行かないと約束していたのに連れ去ったとか,極めて問題のあるケースだということです。ですから,子どもを連れて別居したからといって,直ちに違法とまではいえないと考えられる傾向にあるようです。

 ③以降は触れることがたくさんあるので,次回に触れたいと思います。

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