法律のいろは

こんな理由で離婚は認められますか?(離婚理由その②)

2013年5月9日 更新 

 前回,離婚裁判になって,相手が離婚について争っている場合は,法律で定められた離婚の事由(離婚理由・原因)が必要とのお話しをしました。

 今日は法律で定められた,個別の離婚理由・原因についてお話ししようと思っていましたが,その前に,離婚裁判についてお話ししておこうと思います。

 離婚するかどうかは家庭内のことであり,できるだけ話合いでの解決がふさわしい,との考えから,離婚かどうかいきなり裁判で決着をつけるのではなく,話合いの場である,家庭裁判所での調停から手続を始めることになります。

 ただ,それでも話合いが付かないとき,特に離婚したい,したくないでの争いになっている場合,それでも離婚したいなら,離婚裁判によるしかありません。

 離婚裁判は,話合いの場である調停と異なり,裁判官が,当事者それぞれの主張が,証拠に基づくものか,見極めたうえで判断することになります。

 ですので,相手に不倫(浮気・不貞行為)がある,とのご相談でときどきあるのですが,単に相手の帰りが遅くなった,携帯電話でこそこそ何かしている,女の感で相手(夫)が浮気をしていると思う,というだけでは,証拠として不十分です。

 相手(夫)が浮気なんかない,と言ってきたときに不倫(浮気・不貞行為)があったと裁判官に判断してもらうのはまず難しいでしょう。

 不倫(浮気・不貞行為)を証明するための証拠として,どんなものがあればいいかについては,別のコラム(浮気・不倫・不貞と慰謝料)で触れる予定ですので,そちらを参照して頂ければと思います。

 それ以外の場合については,このコラムでも少しずつ触れたいと思いますが。

 ただ,実際離婚裁判で判決まで至った場合,裁判官の判断をみると,かなり固い客観的な証拠からの事実を導き出し,判断しているようです。

 ですから,できるだけ直接的な証拠をそろえるに越したことはないと思いますが,そうはいっても普段からよほど意識して証拠集めをしていないと難しいですし,そもそも離婚理由・原因によっては,何をもって証拠というのか自体難しいこともあります。

 離婚の話が出てきたら,あるいは離婚を考えるようになったら,証拠となりそうなものは出来るだけ取っておくのがよいでしょう。

 とはいっても,離婚裁判ですべて判決まで至るわけではなく,途中話合いでの離婚(和解離婚)ができないか,模索することがあります。特に離婚については双方合意していて,あとは金銭的なところの話でもめているとかいった場合は,なんとか話合いでまとまらないか,裁判所の方もこころみることが良くあります。

 また,当初離婚かどうかで争いになっていた場合でも,一方に離婚に至る大きな原因があるとまではいえず,別居期間もそこそこ長く(2~3年以上)なっているとき,そのまま判決になると離婚が認められる可能性があります。そうなると,離婚を争っている方は離婚が認められた挙句,財産分与などの請求は別で行う必要が出てきます。

 そのため,こういったケースでは,ある程度双方が主張し合ったあと,離婚を争っている方が,反訴といって離婚を前提での請求を,今ある離婚裁判の手続きの中で行うことになります。それ以降は,やはり金銭的な話合いがつくかどうかが中心になることが多いので,話合いでの離婚ができないか,模索することになります。

 結局のところ,離婚理由・原因があるかどうか自体,証拠の裏付けをもって十分に証明しなければならないケースは多くはなく,むしろ慰謝料額を決める上で必要なことの方が多いでしょう。

 今回は個別の離婚理由・原因についての話に立ち入る前に終わってしまいました。次回からは個別の離婚理由・原因について触れていこうと思います!

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