法律のいろは

不倫・不貞(浮気)と慰謝料請求(その③)離婚との関係

2013年5月8日 更新 

  不倫・不貞(浮気)と慰謝料請求ということで,前回は反論の話をしました。

  慰謝料請求とともに,不倫・不貞(浮気)で問題になるのは,離婚請求です。

  タイプとして

  ①不倫・不貞(浮気)をされた方が離婚を求める

  ②不倫・不貞(浮気)をした方が離婚を求める

 という2つがあります。2つでだいぶ状況が違います。

 まず,①については,不倫・不貞(浮気)についての慰謝料請求の話し合いをする中で,示談交渉の中で協議離婚ができれば問題ありません。裁判所での調停をした場合でも,調停離婚できれば問題はありません。

 離婚裁判に至った場合には,法律上,不倫・不貞(浮気)をされたことは離婚原因として定められています。ですから,不倫・不貞(浮気)の証拠があるなら,離婚を認める判決が出るでしょう。それだけに,証拠の意味は大きいところです。離婚へ向けての話し合いがつかない場合には裁判になることから,こうしたところをふまえて,話し合いは進むことになろうかと思われます

 もっとも,不倫・不貞(浮気)があっても,離婚請求を退けた裁判例もあるにはあります。一般に不倫・不貞(浮気)をされても夫婦の中に復元の余地があるという場合,不倫や不貞(浮気)を許した場合,不倫・不貞(浮気)と夫婦関係の破たんに関係がない場合には,離婚請求は退けられるとされています。しかし,こうした判断をする裁判例は相当に少数ではないかと思われます。

  ちなみに,不倫・不貞(浮気)とは何かという点も問題になるところではあります。よく問題になると思われるのは,夫もしくは妻が別の男性もしくは女性と付き合ったケースですね。このほかに,主に夫ということになるでしょうが,風俗店に行ったケースも問題になるかもしれません。また,夫もしくは妻が同性愛にもとづく性的関係があった場合にはどうなるのかという点も問題になりそうです。

 この点については,

  1 一夫一妻制の貞操に反する一切の性的な関係という考え方

  2 配偶者以外の異性との性的関係(性交渉)という考え方

 の二つの考え方があります。

  多くの裁判例では2の考え方が取られています。ですから,異性との性的関係(性交渉)があれば,長く交際していようとも1回だけの性的関係でも不倫・不貞にはなります。ただし,離婚裁判になった際に,離婚が認められるか否かには,先ほど述べた夫婦の関係の復元の余地があるのかどうかということと不倫・不貞(浮気)の程度は関係する可能性はあります(たとえば,1回だけの性的関係のみの場合等)。

 つまり,不倫や不貞(浮気)の程度が相当軽い場合には,修復の余地ありとされる可能性があるということですが,離婚裁判までこじれるケースではほとんどないのではないかと思われます。

 なお,お断りしておきますが,この記事では,あくまで法律的な観点からの話をするだけです。いわゆる道徳上の見地等からものをいうものではありません。どんな関係や生き方がいいのか・悪いのか等を述べるものでもありませんし,ケチをつけるものでもありません。

 ②の事柄については,次に触れたいと思います。

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