法律のいろは

遺言執行者を遺言でおいておく意味とは?

2021年6月17日 更新 

 特に,自筆証書で遺言を残す場合に,遺言執行者の記載が必要なのかどうか,そもそも遺言執行者とは何であるのかという疑問が出てくるかもしれません。専門家が関わることも多いだろう公正証書遺言では遺言執行者として誰かしらが指定されていることが多いように思われます。

 

 そもそも,遺言執行とは何かという話しになりますが,法律上遺言に書いておくことで実際に遺言を残した方が亡くなると,法律上の意味を持つ(効力が生じる)ものがあります。効力が生じるのであれば,何もせずともいいではないかというと必ずしもそうではありません。また,一定の事柄については遺言に書いておけば効力は生じる可能性はあるものの,誰かが遺言に基づく申立等をしないと効力が生じるものがあります。

 後者の代表例は,遺言で認知を行う場合や相続人の排除を行う場合です。認知の場合には,遺言執行者という立場の方が届け出を行う必要があり期間の制限もあります。相続人の排除とは,遺言をした方への侮辱など一定の法律上定められた事由がある方について家庭裁判所へ申し立てを行い,家庭裁判所から排除の判断を得る必要があります。ここでも遺言執行者という立場の方が申し立てを行う必要があります。申し立てをしたからといって必ず排除の判断が出る(相続人から外す)という判断が出るわけではありません。

 遺言内容の実現は,文字通り遺言に記載された財産や権利の移転・妨害原因があればその排除・遺産の管理などを行うことになります。特に,遺言の存在を無視して権利移転をする方がいるような場合には,それを防いで円滑に遺言に書かれている内容が実現できるようにすることが可能になります。もちろん,財産をもらう相続人や贈与を受ける方が対応することも可能ですが,こうした面倒なことにも対応してもらえるようになるというのがここでの遺言執行者がいることのメリットです。手続きには,登記など名義の移転や預金の払い戻し・預金の解約なども存在します。預金の関係は相続に関する法改正により規制が一部変更になりました。

 

 遺言執行者がどこまでのことを行うことができるのかは,難しい問題があります。遺言執行者がついている際に相続人が勝手に遺産を処分できない等民法改正による相続部分の改正で変更された部分があります。遺言執行者を選ぶ際には,あらかじめ遺言でだれにするか指定しておく・選ぶ方法を決めておくなど対応の仕方はバリエーションがありますが,遺言で決めた内容の実現などを任せるという面がありますので,信頼できる方を選んでおいた方がいいでしょう。費用面(報酬)は遺言で定めておくか,定めていない場合には家庭裁判所が判断をすることになります。いわゆる士業に任せる場合(遺言書の作成から任せるという場合も多いと思われます)には,報酬の基準を決めていることが多いと思われます。そちらも参考にしつつそうした方に任せるのか・それとも例えば遺言で遺産をもらう方に遺言執行者も指定しておくかは,費用面や行うことの煩雑さや難易度という点を考慮してのことになるでしょう。トラブルリスクがある場合には,どこまで遺言執行者が行うことができる話なのか等対応が面倒になる可能性もありえます。

 

 このように遺言執行者を選任することでできることや対応できること・費用面の問題がどうなのか,遺言執行者を選任するならばどういった方がいいのか等予測される問題なども踏まえて考えるのも一つの方法です。

 

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