法律のいろは

相続の際にこのお金はどうなるのでしょうか(負債の相続と遺言)?

2021年12月27日 更新 

 相続発生時に,亡くなった方はプラスの財産以外に負債を残すこともありえます。あまりに大きなどの事情があれば相続放棄を考えるケースもありえますが,そもそもどのような内容で引き継ぐことになるのかも問題になってきます。

 

 遺言もない場合には,当然に法定相続分に分けられて負債を各相続人が引き継ぐことになります。そのため,亡くな方の債権者からお金の請求を受ける可能性がありますし,その場合に相続放棄をしていなければ支払い義務が生じるのが基本です。もちろん,時効期間が経過して更新事由(民法改正前の中断事由など)がない場合には,時効によって支払い義務がなくなったと主張することも可能です。

 それでは,遺言で負債の引継ぎ内容や相続分を指定した場合にはどうなるのかという話が問題として出てきます。遺言で引き継ぎ内容を指定しそれに沿って相続をするという意味では変更されるのではないかという気もするところですが,他方で遺言をした方の債権者は遺言にかかわらないのが原則ですし知らない事情であることが多いところです。そこで突然支払い能力のない相続人のみが負債を引き継ぐとされる不利益を被る理由もないことから,平成30年に一部改正された相続に関する法規制(令和元年7月1日施行)では,債権者側は法定相続分で各相続人にお金を請求できるのが原則とされています。遺言内容を知っている等の場合にはこうした債権者が泡の保護は不要ではないかということから,債権者が遺言での負債の引継ぎ内容を承認した場合には遺言での引継ぎを債権者に対して請求を受けた各相続人は主張できることとなります。

 

 ちなみに,法定相続分での請求⇒支払いをした各相続人は,本来遺言で負担することとされた相続人に対してその分を請求することになります(求償と呼ばれるものです)。結局この場合も先ほどの例外の場合と最終的な負担は変わらないのではないかと思いがちですが,多く負債を引き継ぐ相続人に支払い能力がない場合には,原則の場合には相続人が回収できないリスクを負うことになる点で大きな違いがあります。

 

 先ほどの改正前には,遺留分での負債の計算に関して最高裁平成21年3月24日判決が,特定の相続人が全ての遺産を相続させるという趣旨の遺言がある場合には,負債もその相続人が引き継ぐないよいうという遺言と解釈されるのが原則であると述べたものがあります。この判断の中で,遺言内容による負債の負担に関して,先ほどと同趣旨の話になると述べたものがあります。この判断が遺留分の話以外のどこまでに及ぶかはっきりしない面がありましたが,少なくとも改正法施行後に関しては先ほどのルールが適用されることになります。それ以前のものは,この判例をどう考えるのかがポイントの一つとなると思われます。

 改正の前後を問わず,「債権者が承認した」「知っていた」等の事情は本来相続とかかわりないのが債権者であることから,争いがある場合に立証することはそう簡単ではない(ハードルが割と高い)点はいえるのではないでしょうか。ご自身の負担がどの程度になりそうなのか・後はどうなるのかは,いざという際の相続放棄その他も含めて確認をしておくことが重要でしょう。

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