法律のいろは

相続分を譲渡した後取り戻すことは可能でしょうか?

2022年1月28日 更新 

 法律上の相続人であれば法廷の相続分を有しています。相続開始の後には相続分は現実化しますので,他の相続人を含め相続分を譲渡すること自体は可能です。譲渡を受けた側では譲渡を受けた分を含めた相続分を持つ形で遺産分割に関わることになります。そのため,遺産分割協議に関わる気がない方は相続分を譲渡することで離脱することが可能になってきます。

 

 その後やはり遺産分割協議に関わりたいと考えた場合に相続分を取り戻すことが可能なのかが問題になります。結論から言えば,一度相続分を譲渡した方が取り戻しをすることはできないと考えられています。ただ,法律上相続分の取戻しの制度が存在し,費用と価格を支払うことで取り戻すことが可能とされています。そもそもの相続分の譲渡自体が有償・無償で譲渡をすることが可能です。特に関わりたくない場合にそもそも無償で譲渡するか・有償で譲渡するか,仮に有償で譲渡するとしていくらで譲渡するかは自由です。

 この取戻しの制度は家族の間の遺産の配分である遺産分割協議に相続人で本来ない第3者の介入を防ぐための制度と考えられています。そのため,取り戻しが可能な場合としては相続人以外の方に相続分を譲渡した場合とされています。そのため,他の相続人に譲渡をした場合は含まれません。また,一度相続分を譲渡した方が取り戻すことができないと考えられているために,先ほどの回答である相続分を一度譲渡した方が取り戻すことはできないという話につながってきます。ちなみに,取り戻しができる期間は限定されています。

 

 それでは,法律で定められている相続分の取戻しに必要な価格や費用はいくらなのかという話が問題になります。その回答は,一度相続人が相続分を譲渡するにあたり支払いをした金額ではないようされています。譲渡された相続分の取戻し時における評価額を支払うという形になります。取り戻しというからには,そもそも譲渡時にお互いの合意がないと譲渡ができないので,ここでも合意がないと取り戻しができないのかというところが気になるところですが,結論として取り戻しの意思を相手に示すことで足りるとされています。もちろん,意思表示をするだけではなく,価格分のお金の支払いをしたといえるだけのことをしておく必要があります。

 意思を示すのは後で争いに残る内容に書面で行っておいた方がいいでしょう。お金の支払いは価格分を確認したうえで,現実にお金の準備をしておき示す必要があります。意思表示だけで取り戻しはできると考えられていますが,支払い義務は残りますし延滞になると遅延損害金の問題も出てきかねません。意思表示やお金の支払いが問題になる場合には,シビアに問題となる点となる可能性があります。

 

 

 

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